「ファクタリング」と「電子記録債権(でんさい)」、債権者の立場からすると同じようなサービスですが、いったいどういう点が異なるのでしょうか?実は、お互いに一長一短があります。ファクタリングは「売掛債権」、でんさいは「電子記録債権」を扱う、似て非なるものなのですが、それぞれの仕組み・違いを理解しておくと、どちらを使うべきかが見えてくるものです。本記事では、どちらを利用するか悩んでいる方に向けて、「ファクタリング」と「電子債権取引(でんさい)」の違いや共通点、そこから見えてくるそれぞれのメリット、デメリットをまとめました。

「ファクタリング」と「でんさい」は互いにメリット・デメリットがある

ハイタッチをする経営者「ファクタリング」と「でんさい」では、同じ債権でも取り扱い方が異なります。
そのため、互いに異なる長所・短所が生まれています。
ゆえに、どちらを利用するべきなのかは、それぞれの違いを把握したうえで適切に判断しなくてはなりません。

まず、「ファクタリング」と「でんさい」の違いなどを踏まえ、どちらを選ぶべきかを見定めていきましょう。

「ファクタリング」と「でんさい」の共通点

「ファクタリング」と「でんさい」には以下の共通点があります。

  • 売掛債権を譲渡し、支払期日より早く現金化することができる
  • 売掛先が支払う売掛金は、最終的にファクタリング企業か銀行に支払われる
  • 手続きの大半は自動で行われる
  • 審査・手数料がある

以下のように、「売掛債権を早く現金化したい」という目的では一致しているのがファクタリングとでんさいの特徴です。
では、いったいどのような違いがあるのかをチェックしていきましょう。

「ファクタリング」と「でんさい」の違いを比較

比較する様子「ファクタリング」と「でんさい」には、大きく分けて5つの違いがあります。

  • 支払いスピード
  • 返済義務
  • 審査
  • 手数料
  • 使いやすさ、統一性

それでは、それぞれ説明していきましょう。

支払いスピード:ファクタリングの方が早い

申し込んでから実際に現金が振り込まれるまでのスピードは、ファクタリングのほうが早いです。
金額や債権の個数にもよりますが、だいたい「申し込み日から即日〜3日後」には現金化できます。

それに対し、でんさいは申込日から1〜2週間、早くても4日程度は必要です。
これには、後述する審査などが影響してくるためです。この点は、事前にファクタリング会社やでんさい取扱い会社などに確認しておきましょう。

返済義務:ファクタリングは返還義務なし

返済義務とは、「売掛先が倒産した場合(債権の価値がなくなった場合)、受け取り企業がその金額を払う必要があるか」という点です。
ファクタリングは返済義務がなく、でんさいはもしそうなった場合返済しなくてはなりません。
この点が最大の違いといえるでしょう。

理由として、ファクタリングは法律上では「債権の売買」、でんさいは「債権を担保にした融資」という扱いとなっているためです。
ファクタリングは「ノンリコース(償還請求権なし)」の会社がほとんどなので、この点において安心できます。

ただし、その分貸し倒れリスクを軽減するために後述の手数料が高くなっているなど、それに伴って影響する面も出ています。

審査:ファクタリングは審査が緩く、個人事業主でも利用可

ファクタリングは、前述のとおり返済義務がありません。
そのため、審査においては受け取り企業より、売り掛け先(取引先)の信用が重視されます。

一方、でんさいでは「倒産した場合、受け取り企業に支払い能力があるか」という点を審査されるため、売り掛け先、受け取り企業両方の審査が重要視されます。
そのため、審査は全体的にでんさいのほうが厳しくなります。

したがって、この信用という観点から個人事業主は基本的にでんさいを利用できません。
一方、ファクタリング会社は個人事業主も受け付けているところがあるという違いがあります。

手数料:でんさいの方が金利は低い

手数料は、全体的にでんさいの方が低金利です。
ファクタリングでは、システム上どうしても貸し倒れリスクが拭いきれないので、それに伴っていくらか手数料が割り増しされています。

とはいえ、でんさいの金利と3社間のファクタリングの金利はそこまで大きく差はありません。
ですが、売り掛け先を介さない2社間ファクタリングとでんさいでは、でんさいの方が圧倒的に低金利です。

使いやすさ、統一性:ファクタリングは少し不便?

使いやすさでは「でんさい」は小口分割ができ、統一書式で契約がスムーズです。
システムの使いやすさでは、でんさいの方が優れています。
でんさいは基本的にやりとりがペーパーレスのほか、債権を小口分割することができます。

また、でんさいは全国統一書式で全国の銀行から手続きできるのもポイントで、一度やりとりをすれば次回以降は非常にスムーズです。

一方、ファクタリングは会社毎に異なる書式で手続きしなくてはなりません。
また、小口分割やペーパーレスかどうかも会社によるという違いがあります。

さらに、でんさいは「取引先がすでにでんさいに申し込んでいれば契約不要で利用できる」という点も大きく、これは民間のファクタリング会社では不可能です。

「ファクタリング」と「でんさい」のメリット・デメリット

納得する経営者上記をまとめると、「ファクタリング」と「でんさい」では、それぞれのメリット・デメリットが見えてきますね。
それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。

でんさいのメリット

  • 手数料が安い
  • 統一書式でやりとりがスムーズ
  • 銀行が100%出資しているシステムのため、信頼性は非常に高い
  • 取引先がでんさい利用していれば契約は不要

ファクタリングのメリット

  • 現金化のスピードが早い
  • 売り掛け先の倒産に伴う返済義務がない
  • 審査が緩い&個人事業主でも利用できる
  • 3社間&売掛先の信用があれば手数料も安い
  • 業者の選択肢が広い

これにより、どちらを使うかがある程度見えてくるのではないかと思います。

電子債権取引(でんさい)を使うべき状況

上記のメリットのように、でんさいを使うべき状況にある人は、

  • 確実に低金利で現金化したい
  • すでに取引先も合意しており、ある程度信用がある
  • 債権の現金化を何度も行う予定がある
  • 煩雑な手続きなく、スムーズに済ませたい

という企業が該当しますね。債権の現金化を資金調達手法として継続利用する予定のある企業は、でんさいを使った方が良さそうです。

ファクタリングを使うべき状況

一方、ファクタリングを使うべき状況にある人は、

  • 一刻も早い現金化が必要
  • 赤字決算、設立間もないなど信用が低い
  • 債権の返済リスクを背負いたくない
  • 個人事業主

などが該当します。

また、補足しておくと、ファクタリングは「2社間」と「3社間」の2種類があり、「売掛先に知られずに現金化したい」という場合でも対応できます。

まとめ:「信用に不安がある」人はファクタリング、「堅実に現金化をしたい」人はでんさいを使おう

堅実に階段を上る様子でんさいを使うべき企業は、ある程度信用力があり、経営も比較的安定している企業です。
一方、ファクタリングを使うべき人は、なるべく早い資金繰りが必要かつ、設立間もないなど信用に少し不安がある人です。

民間のファクタリング会社では、長期的なキャッシュフロー改善のアドバイスなどを行ってくれるなど、さまざまなサービスがあります。
ファクタリングやでんさいは、まっとうな資金調達手法ですので、一度検討してみるとよいでしょう。

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