債権譲渡禁止特約付きの契約書

債権譲渡禁止特約が付されている場合、ファクタリング契約が無効になってしまう可能性があります。

そのためファクタリング会社にお申し込み前には、債権譲渡禁止特約の存在を必ず確認しなければいけません。

本記事では債権譲渡禁止特約とは何か、また改正民法が施行される事で債権譲渡禁止特約付きの売掛金でもファクタリングが可能となる事由について詳しく解説して参ります。

債権譲渡禁止特約とは?

法律用のクラブ

債権譲渡禁止特約とは、その名の通り第三者への譲渡が禁止されている売掛債権のことです。

本来は債務者の権利を保護するための契約で、債権譲渡禁止特約が付されていると、債務者は譲受人に対して譲渡の無効を主張することができます。

詳しくは後述しますが、改正民法が施行される前の2020年3月31日までは、債権譲渡禁止特約が付された売掛金をファクタリングしたり、債権担保融資に使用することはできません。

債権譲渡禁止特約は取引先が多く、売掛債権の管理・支払いが困難になりやすい大手企業や、工事請負などに付されていることがしばしばあります。

またクレジットカード債権に関しても、債権譲渡禁止特約が付いている事がありますので、注意してください。

債権譲渡禁止特約が付された売掛金をファクタリングすると…

債権譲渡禁止特約が付された売掛金をファクタリングすると、当該ファクタリング契約自体が無効になってしまう恐れがあります。

その場合、ファクタリング会社に過失はないため、買取代金は全額、返済しなければいけません。

よって債権譲渡禁止特約付きの売掛金をファクタリングしてしまうと、大きな損をしてしまう可能性がありますので、ご注意ください。

当然ながら、債権譲渡禁止特約付きの売掛金は、取引先から譲渡承諾が必要な3社間ファクタリングは利用できません。

一方で

「取引先にファクタリングの事実が知られない2社間取引ならば、債権譲渡禁止特約が付いている売掛金でもファクタリングできるのでは?」

とお考えの方は少なくありません。

しかしながら、債権譲渡禁止特約が付された売掛金は、ファクタリング会社に買取を拒否されてしまいます。

ファクタリング会社に申し込みの際には、取引先との契約書の提示が必須です。

基本的に債権譲渡禁止特約は、契約書内に明記されています。

そのためファクタリング審査時に、譲渡禁止特約がついていることは明らかになってしまいます。

ファクタリング会社を欺き、債権譲渡禁止特約付きの売掛金を譲渡しようとすることは控えましょう。

また債権譲渡禁止特約が付いた売掛金をファクタリングしようとしていた事が取引先に知られてしまうと、信用を失ってしまいます。

最悪の場合は、取引停止にも繋がりかねない背信行為です。

債権譲渡禁止特約が付されていてもファクタリングが可能?改正民法の影響とは

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実は2020年4月より施行される改正民法の影響で、債権譲渡禁止特約が付された売掛債権に関しても、譲渡(ファクタリング)する事が可能となります。

改正された民法の条文で、債権譲渡禁止特約に言及された部分は民法466条「債権の譲渡性」に関する部分です。

民法466条「債権の譲渡性」(改正後)
1、債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2、当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
3、前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
4、前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。

ご覧の通り、改正民法466条の第二項で、

「債権譲渡禁止特約が付されている売掛金でも、譲渡を妨げることはできない」

と明文化されています。

一方で第三項では、債務者が債権譲渡が行われたことを把握していなかった場合、譲受人(ファクタリング会社)への支払いを拒否する事ができるということも明記されています。

加えて第四項では、債務者(取引先)から譲受人(ファクタリング会社)に売掛債権の支払いが行われなかった場合には、ファクタリング会社が取引先に直接、支払いを督促する事ができる、という条文となっています。

小括:民法改正がファクタリングに与える影響

まとめると、改正民法に債権の譲渡性という条文がファクタリング業界に与える影響は以下の2点です。

  1. 債権譲渡禁止特約が付いた売掛債権でも、債務者に通知をすれば、ファクタリングが可能になる 
  2. ファクタリング利用後、取引先が売掛金を支払わない場合、ファクタリング会社は取引先に直接、督促をする事ができる
    (取引先に債権譲渡通知をしていない場合は、不可能)

改正民法が施行されれば、債権譲渡禁止特約の効力がなくなり、ファクタリングできる売掛債権の種類が増加するでしょう。

特にクレジットカード債権や大手企業相手の売掛金は、信用度が高く回収リスクが低いにも関わらず、譲渡が禁止されてるため、ファクタリングできないという難点がありました。

それらの売掛金でもファクタリングができるようになるため、中小企業にとっては資金調達の可能性が広がるという事です。

しかしながら、債権譲渡禁止特約が付されている売掛金をファクタリングする場合は、取引先への通知が必須です。

そのためファクタリングの利用は必然的に、3社間取引に限られるということは注意しなければいけません。

債権譲渡承諾を得ていない譲渡禁止特約付きの売掛金に関しては、ファクタリング会社も買取を拒否すると考えられます。

とは言え、改正民法が施行されれば、債権譲渡禁止特約を付ける意味はほとんど無くなります。

したがって契約の際に、債権譲渡禁止特約を付する企業は少なくなると予想され、結果的にはファクタリングの自由度が増すかもしれません。

法改正前でも債権譲渡禁止特約付きの売掛債権はファクタリングできる?

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法改正前であっても、債権譲渡禁止特約付きの売掛債権をファクタリングすることは可能です。

最後に、2020年3月31日前でも債権譲渡禁止特約付きの売掛金をファクタリングする条件を解説して参ります。

①3社間ファクタリングの場合

3社間ファクタリングでは、取引先から債権譲渡承諾を得て、売掛金の売却を行います。

即ち、取引先の同意・承諾があれば、債権譲渡禁止特約が付されている売掛金であっても、ファクタリングをすることは可能です。

②ファクタリング会社と利用企業ともに債権譲渡禁止特約の存在を知らなかった

ファクタリングを利用する企業も、ファクタリング会社ともに、売掛債権に債権譲渡禁止特約の存在を知らなかった場合は、無過失であると判断され、債権譲渡禁止特約は無効になります。

利用企業側は、善意者として保護されるため、ファクタリング契約自体も有効とみなされるでしょう。

しかしながら、

  • 契約書に書かれていた債権譲渡禁止特約の事項を見落としていた
  • 債権譲渡禁止特約の存在を秘匿にしていた

といった場合は、譲渡人である利用者側に過失があると判断され、債権譲渡禁止特約が有効になります。

まとめ

債権譲渡禁止特約が付されている売掛金は、譲渡する事ができません。

ファクタリングや売掛債権担保融資に利用することは不可能です。

仮にファクタリングをしてしまうと、契約が無効になり、ファクタリング会社に買取代金の返済をしなければいけません。

そのため、ファクタリングをご利用の前には必ず譲渡禁止特約の存在を確認するようにしてください。

なお2020年4月より施行される改正民法第466条「債権の譲渡性」により、譲渡禁止特約付きの売掛債権であっても、ファクタリングをする事が可能となります。

したがって契約の際に、債権譲渡禁止特約を付する企業は少なくなると予想され、今後はファクタリングの自由度・利用ニーズがさらに増加するかもしれません。