でんさいファクタリングとは?わかりやすく仕組みを解説!

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「でんさい(電子記録債権)」をご存じでしょうか?

近年、手形の利用率は年々下がってきており、ファクタリングやこの「でんさい」を利用する企業が増加してきています。

債権を電子化することで、既存の手形割引が抱えていたさまざまな問題を克服した「でんさい」。

本記事では、でんさいの特徴と、このでんさいを利用したファクタリング、通称「でんさい一括ファクタリング」について解説していきます。

既存のファクタリングとも比較しておりますので、参考になれば幸いです。

でんさい(電子記録債権)とは?

黒板と電球

でんさい(電子記録債権)を簡単に解説すると、「手形割引を電子化させ、問題点を克服した金銭債権」といえます。

でんさいを管理しているのは、「全国銀行協会」が設立したでんさいネットで、これは1300の金融機関が100%出資して設立された企業によって運営されています。このような背景から、全国の金融機関を経由してでんさいネットにアクセスできるのが特徴となっています。

なお、企業登録には審査が必要で、債権の登録にも手数料がかかります。ですが、一度審査を通過すれば本記事で解説するファクタリング(債権譲渡)や分割がPCやFAXを通して行えるようになります。

審査が挟まることで、でんさいに登録された債権は事実上「保証を受けた債権」という扱いになり、その結果取り立てが不要になるなどさまざまなメリットが生じるのです(詳細は後述)。

「電子記録債権法」によって定められている

また、でんさいは「電子記録債権法」によってその要件が定められています。細かい解説は省きますが、国も利用を認可しており信頼性の高いものであるといえるでしょう。

それでは、この「でんさい」が、従来の手形割引とどう異なるのかを解説していきましょう。

「でんさい」と「従来の手形割引」との違いを説明

別れ道と人形

「でんさい」には、以下の4つのメリットが存在します。

  • ペーパーレスで保管コストや紛失リスク・印紙代・送料がゼロ
  • 必要に応じて柔軟に譲渡・分割が可能
  • 期日に自動入金され、取立不要
  • 手形・振り込み・ファクタリングなど支払い手続きを一元化

それでは、簡単に解説していきましょう。

ペーパーレスで保管コストや紛失リスク・印紙代・送料がゼロ

手形割引との大きな違いとして、「ペーパーレス」であることが挙げられます。手形は発行に印紙代や送料などのコストがかかるのがデメリット。

でんさいも債権の登録に手数料はかかりますが、高額ではありません。

加えて、でんさいはサーバー上で管理されるため、手形を紛失するリスクや管理するコストをかける必要もありません。

コスト面でも、業務効率面でも理にかなった手段であるといえます。

必要に応じて柔軟に譲渡・分割が可能

「でんさい」は、必要な額だけ分割して譲渡するなど、柔軟な手形の運用が可能となっています。これは、従来の請求書ではできない動きでしょう。

期日に自動入金され、取立不要

売掛金の取り立てに頭を悩ませる経営者は少なくないと思いますが、「でんさい」では、期日になれば売掛金が自動で振り込まれるようになります。

督促する側というのは精神的にも面倒なものですし、そもそも取り立ての手間自体が生産的ではないので、これは合理的なシステムといえるでしょう。

手形・振り込み・ファクタリングなど支払い手続きを一元化

でんさいネットに登録された債権は、手形や縁込み、ファクタリングなど、債権の手続きを一本化できます。

売掛金を複数の方法で活用している方は、今まで方法毎にそれぞれ別の業者と契約しなくては鳴りませんでしたが、でんさいではその必要がなくなります。

上記のように、電子化にあたってさまざまな部分が効率化・合理化されているのがでんさいのメリットです。

でんさいについて、ひととおり理解を深めたところで、続いてこのでんさいを使ったファクタリングについて解説していきましょう。

「でんさいファクタリング」とは?

パソコン画面に表示される通貨

でんさいファクタリングとは、上記の「でんさい」をファクタリングで現金化するサービスです。

ファクタリング会社がでんさいネットにアクセスする形で債権譲渡を行うため、取引先がでんさいネットに登録していなくても利用可能なのがメリットです。

基本的に、ファクタリングの実行に審査は必要なく、簡単な手続きでファクタリングを実行可能となっています。

それでは、でんさいファクタリングの流れについてみていきましょう。

でんさい(電子記録債権)ファクタリングの仕組み

でんさいを使ったファクタリングの流れは、基本的に従来のファクタリングと大きな違いはありません。以下のような流れでファクタリングが実行されます。

  1. 売掛先→ファクタリング会社:でんさいの発生記録請求義務を委託
  2. 依頼者→ファクタリング会社:債権の回収代行を委託
  3. ファクタリング会社→依頼者:売掛金を入金
  4. ファクタリング会社→でんさいネット:電子記録請求
  5. でんさいネット:債権譲渡を実行
  6. 売掛先→ファクタリング会社:売掛金を入金

通常のファクタリングと比較すると、ファクタリング会社は債権譲渡通知などを行う必要が無く、譲渡にかかわる手続きはすべてでんさいネット上で完結するようになっています。

依頼者と売掛先は、特にでんさいネットに触れる必要が無い(依頼側はでんさいネットを導入しておく必要がある)ので、手続きの手間も多くありません。

では、このでんさいファクタリングと、ファクタリングの違いを紹介していきましょう。

「でんさいファクタリング」と「ファクタリング」の違い

「でんさいファクタリング」と「ファクタリング」違いを解説!

「でんさいファクタリング」と、通常のファクタリングとでは、大きな違いがいくつか存在します。

以下で、でんさいファクタリング視点でファクタリングと比較して優れている部分をピックアップしました。

  • 取引企業が違っても新しくファクタリングを契約し直す必要がない
  • 分割譲渡が可能
  • 記録原簿に記録すれば譲渡できる
  • 相手の銀行を問わずにすぐ利用可能で、互換性が高い
  • でんさいネット、あるいは債権の登録時に審査されるので、実際にファクタリングを行う際は審査の必要が無い

それでは、簡単にですが説明していきましょう。

取引企業が違っても新しくファクタリングを契約し直す必要がない

でんさいファクタリングは、「登録時に審査が必要」で「依頼者はでんさいネットにと婦録している必要がある」のが特徴です。

しかし、一旦登録さえしてしまえば、そこから債権譲渡はスムーズに行え、審査も必要ありません。

債権譲渡が必要になった時に、すぐ動けるのはでんさいファクタリングの強みといえます。

分割譲渡が可能

通常のファクタリングと異なり、ひとつの債権をいくつかに分割し、必要な額だけファクタリングすることが可能です。

記録原簿に記録すれば譲渡できる

債権譲渡の際は、債権譲渡の通知や登記を行う必要が無く、記録原簿に記録さえしてしまえばすぐに譲渡に利用することができます。

「でんさいファクタリング」は、上記のようなメリットを持ち、実際にファクタリングとは全く違うことがわかるかと思います。

それでは、最後にでんさいファクタリングの問題点についても触れていきましょう。

でんさいファクタリングの問題点

豚の貯金箱を持つ様子

でんさいファクタリングが現在抱える問題点は以下の通りです。

  • そもそも「でんさい」の普及が進んでいない
  • でんさいの記録手数料>請求書の送料
  • 会計処理を変えなくてはならない
  • 取引先もでんさいを導入する必要がある

そもそも「でんさい」の普及が進んでいない

現在、売掛債権のやりとりはペーパー、電子問わず書類ベースが9割以上を占めており、でんさいの普及はあまり進んでいません。

会計処理を変えなくてはならない

でんさいを導入する場合、既存の会計処理を変えなくてはならず、教育コストなどがかさんでしまいます。

会計システムを一新することは、会社の多くに影響が出ますので足並みが揃わないのも致し方ないでしょう。

国・地方公共団体発行の債権は未対応

公共工事や医療報酬など、国や公共団体の決済はでんさいに登録しておらず、そもそも利用不可能です。

電子記録債権法では、国や公共団体のでんさい利用が別段禁止されているわけではないため、これからの普及が見込まれます。

3社間ファクタリングが原則となり、2社間ファクタリングは利用不可能

特性上、売掛先に知られずにファクタリングを行う(2社間ファクタリング)は不可能です。現在、ファクタリングが徐々に普及してきているとはいえ、まだまだ3社間ファクタリングのハードルは高く、普及には厳しいモノがあります。

上記のように、でんさいには普及していないという壁など、多数の問題点が存在しています。

普及が進めば、有力な選択肢になるポテンシャルは秘めていますので、まだまだこれからといった所でしょうか。

まとめ

でんさいファクタリングについての記事をまとめる様子

「でんさい(電子記録債権)」は、既存の手形割引の問題点を解決し、分割や譲渡などさまざまな債権活用をスムーズに行うことが可能なサービスです。

特に、会計業務の効率化に役立つというメリットもありますので、率先して導入している企業も各業界で存在しているようです。

とはいえ、まだまだ普及が進んでいないことも事実。でんさいファクタリングに興味があれば、一度取引先に掛け合ってみると良いでしょう。