ファクタリングを申し込む前に知っておくべき注意点やデメリット、ファクタリング契約の際のチェックポイントなどを詳しく解説して参ります。
ファクタリングは優れた資金調達法ですが、利用に即して知っておかなければならない注意点もありますので、必ずご確認ください。
ファクタリングの注意点・デメリットとは?
ファクタリングには以下のような注意点・デメリットがあります。
必ずファクタリング会社に申し込みをする前に、ファクタリングの注意点やデメリットは知っておきましょう。
- 取引先に資金繰りの悪化を知られてしまう
- 長期のキャッシュフロー改善には向かない
- 手数料が高い
- 詐欺・悪徳会社・ヤミ金が存在する
- 法律が未整備である
順に解説して参ります。
①取引先に資金繰りの悪化を知られてしまう
ファクタリングは銀行融資やビジネスローンが利用できないという場合に、利用する資金調達法です。
3社間ファクタリングでは取引先に債権譲渡承諾を得る必要があり、取引先に資金繰りが悪化していることを知られてしまいます。
「ファクタリングを利用しなければいけないほど、資金繰りが悪化しているのか…」
と勘ぐられ、今後の取引に支障が出てしまう可能性は否めません。
ただ取引先に通知をしない2社間ファクタリングならば、この心配は不要です。
②長期のキャッシュフロー改善には向かない
ファクタリングは「振り込まれる売掛金を前倒しで現金化する」という資金調達法で、当然ですが無償で資金が得られるわけではありません。
それどころかファクタリングには買取手数料がかかるため、手数料の分、本来は得られるはずだった売掛金の金額が少なくなってしまいます。
したがって手数料の分、確実に資金繰りはひっ迫されてしまいます。
そのためファクタリングはあくまで一時的な資金繰り改善策であり、根本的なキャッシュフローの改善策にはならないということは理解するようにしましょう。
③手数料が高い
ファクタリングの手数料の相場は、
2社間ファクタリング→10%~20%
3社間ファクタリング→5%~10%
です。
ファクタリングは融資ではありませんが、仮に手数料を金利分として考えた場合には利息制限法を上回る高金利となります。
上述の通り高い手数料の分、資金繰りはひっ迫されてしまうのでご注意ください。
【関連記事】ファクタリング手数料の相場と内訳を解説!金利が暴利は本当か?
④詐欺・悪徳会社・ヤミ金が存在する
ファクタリングは利息制限法などの規制を受けることなく、現状では高い手数料を要求しても違法にはなりません。
そのため詐欺・悪徳会社、ヤミ金が参入しやすいという側面があります。
実際に、過去にはファクタリングを装ったヤミ金業者が逮捕されたという事例も存在します。
そのようなファクタリング会社を利用してしまうと、
- 不当に高い手数料を要求される
- 取引先にバラすと脅される
- 詐欺やヤミ金のターゲットにされる
といった被害に遭ってしまう恐れがあり、注意しなければいけません。
【関連記事】ファクタリングの悪徳業者を見分けるポイントと対策
⑤法律が未整備である
ファクタリングの歴史はまだ浅く、手数料を制限する法律がないなど、法的には未整備の部分が多いことは否めません。
事実、ファクタリングは売掛金の売買ではなく、売掛金を担保にした融資ではないかという指摘もされています。
実際に過去にはファクタリングを違法な貸付であるとして、ファクタリング会社に過払金の返還を命じたという裁判例も存在します。
今後、ファクタリングが違法な貸付であると判断される可能性はゼロではありません。
ファクタリング契約時に注意すべきこと
上述の通り、ファクタリング会社の中には悪徳会社も少なからず存在しています。
そのためファクタリング契約の際には、手数料や契約内容などを確認するようにしましょう。
次にファクタリング契約の際に注意しなければいけない点を解説して参ります。
- ファクタリング手数料の内訳を確認する
- ファクタリング契約に「株式譲渡契約」・「遡及義務」が含まれている
- 契約書に「債権売買」が明記されているか
- 担保や保証人は要求されないか
- 債務承認公正証書を作成される
それでは、詳しく解説していきます。
①ファクタリング手数料の内訳を確認する
ファクタリング手数料は相場より高くないか、不明瞭な手数料を要求せれていないかどうか内訳は必ず確認するようにしましょう。
債権譲渡登記の相場(7~9万円)は適正価格か、などをよく確認し、特に手数料が高い場合は注意が必要です。
またファクタリングに消費税は発生しませんが、手数料に消費税を上乗せして要求してくる悪徳ファクタリング会社にも注意してください。
【関連記事】ファクタリングの取引には消費税はかからない!手数料に上乗せする悪徳業者には注意
②ファクタリング契約に「株式譲渡契約」・「遡及義務」が含まれている
ファクタリングは融資ではなく、債権売買です。
そのため売掛債権が未回収となった場合に備えて「株式譲渡契約」を結ぶことや、「遡及義務」を設けることはファクタリング契約が「債権担保融資」であると見なされ、違法になります。
遡及義務とは、売掛債権が未回収となった場合に利用企業が売却した売掛金を買い戻さなければいけない義務のことです。
手形割引の際には有効ですが、ファクタリング契約時には違法となりますので、ご注意ください。
③契約書に「債権売買」が明記されているか
ファクタリング契約書に「債権売買」である旨が記載されていないと、債権売買ではなく「債権担保融資」であると見なされる可能性があります。
必ず契約書の内容は確認し、債権売買という趣旨の言葉が含まれているかチェックしましょう。
④担保や保証人は要求されないか
繰り返しですが、ファクタリングは融資ではなく売掛債権の売買です。
にも関わらず担保や保証人を要求すると、「融資」であると見なされます。
契約の際に担保や保証人を要求されても、絶対に応じてはいけません。
⑤債務承認公正証書を作成される
ファクタリングにおける債務承認公正証書とは、
取引先から売掛金を回収できなかったリスクを、利用企業の債務とする証書のことです。
債務承認公正証書に同意してしまうと、支払いが遅れた場合や取引先から入金が無かった場合に、ファクタリング会社は資産の差し押さえができてしまいます。
債務承認公正証書が聞きなれない方はこの証書に疑問を持たずに同意してしまうことが多いので、くれぐれもご注意ください。
契約書はかならず控えを貰っておこう!
悪徳業者の常套手段としては、
「早く契約させようとする」「後出しで手数料を上乗せしてくる」「契約書を改ざんする」
といったことが挙げられます。
これを防ぐためにも、契約書の控えは必ず貰っておきましょう。
仮に契約書の控えを渡さないファクタリング会社の場合、悪徳会社である可能性が非常に高いと言えます。
加えて悪徳ファクタリング会社は、わざと契約書の文面を難しい言い回しにしたり、長い契約書を作成してきます。
知らないうちにファクタリング会社にとって有利な条件が含まれていることもあるため、契約内容は必ず確認するようにしてください。
【関連記事】ファクタリングの悪徳業者を見分けるポイントと対策
ファクタリングを利用する側の注意点
ファクタリングを利用する側の事業者にも、注意しなければいけない点があります。
利用するうえで注意しなくてはならないこととしては、
- 虚偽申告をしない
- 二重譲渡、三重譲渡は犯罪
- 支払いは必ず行う
の3点です。順番にチェックしていきましょう。
①虚偽申告をしない
ファクタリング申し込みの際に必要書類(貸借対照表や請求書など)を改善したり、ファクタリング業者からのヒアリング(業績など)に虚偽の申告をするのは絶対にしてはいけません。
ファクタリング会社は帝国データバンク等から信用情報を収集するので、細かい事柄までしっかり把握されます。
また少しでも疑わしい点がある場合は、取引先に確認の連絡が行ってしまいます。
ファクタリングでは、基本的に利用企業の信用情報は重視されません。
業績が悪い、税金の支払いを滞納している場合でも利用することができますので、虚偽申告などはせずに、真摯な態度で申し込みをするようにしましょう。
②二重譲渡、三重譲渡は犯罪
一度、ファクタリング会社に譲渡した債権を、別のファクタリング会社にも譲渡してしまうことを「二重譲渡」といいます。
当然ながら債権の二重譲渡はれっきとした違法(詐欺罪)です。
ファクタリング契約の際には、二重譲渡を防ぐために「債権譲渡登記」が必須です。
売掛債権の二重譲渡を試みても、必ずバレてしまいます。
【関連記事】ファクタリング契約時の架空債権と二重譲渡は絶対禁止
③支払いは必ず行う
ファクタリング契約後、売却した売掛債権の所有権はファクタリング会社にあります。
そのためファクタリング会社への支払いができないと、「横領罪」に該当する可能性はゼロではありません。
ファクタリング会社への支払いは必ず行うようにしましょう。
よくあるケースが取引先から入金された売掛金を、別の支払いに充ててしまったというケースです。
自動引き落としなどならまだしも、故意的に使い込みをしてしまうと、ファクタリング会社から訴訟を起こされてしまう可能性もあります。
まとめ:長期的なキャッシュフロー改善を見据えたファクタリングを
ファクタリングが有効なのは、短期の資金繰りの際であって、長期的にはマイナスになってしまいます。
そこを踏まえたうえで、現在の窮地を乗り切ったら次はどうするか、という点をしっかり考えた上でファクタリングを実行するようにしましょう。
またファクタリング会社の中には悪徳業者も少なからず存在します。
契約の際に相見積もりを取り、しっかりと手数料内訳を把握し、契約内容の理解に務めることが重要です。
経営者としてのモラルを持ち、冷静に資金繰りを改善していきましょう。
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