ファクタリングのデメリットとして高い手数料があります。
実は過去に、この手数料を巡ってファクタリング利用企業がファクタリング会社に対して過払金の返還を求める訴訟を起こしたという事例があります。
本記事ではこの訴訟を元に、ファクタリングで過払金の返還請求が認められる条件や、ファクタリングの手数料の問題点などを分かりやすくお伝えして参ります。
悪徳ファクタリング会社の被害にも関わることですので、ファクタリング契約前には必ず一読してください。
目次
ファクタリング過払金の返還請求が認められなかった事例
平成27年5月21日に、ファクタリングを利用した企業がファクタリング会社を告訴し、利息制限法の上限を超える分の手数料を返還するように訴えを起こしました。
結果から言うと、ファクタリング会社側が過払金の返還をすることは認められませんでした。
裁判で注目されたのは、ファクタリングが売掛債権の売買であるのか、売買を装った貸金であるのかと言う点です。
裁判所が下した判決では、ファクタリング契約の際の契約書に「売買」と言う文字が記載されており、被告側は同意のもとで契約を行なっていたため、ファクタリング手数料が返還されることはないとのことでした。
またもしも売却した売掛債権が不良債権化し、未回収となってしまっても、被告側は償還請求を受けることがなく、ファクタリング会社側がその場合のリスクを負うと言う点についても、重要視されています。
まとめるとこの判例では、
- ファクタリングは債権の売買であった(契約書に明記)
- 被告側に償還請求権がなかった(=ノンリコース )
という根拠により、ファクタリングは違法な貸付ではなく、利息制限法を超える手数料であってもその正当性が認められることになったのです。
ファクタリングで過払金の返還が認められた判例
平成29年3月3日に大阪地判で行われた裁判では、ファクタリングを利用した企業がファクタリング業者を告訴し、手数料の返還を要求しました。
その結果、この裁判ではファクタリング会社側に過失があったとして、過払金の返還が認められました。
ファクタリング会社が過払金の返還を命じられたポイントとしては、以下の点が重要視されています。
- ファクタリング会社に売却した売掛債権を、被告側が買い戻ししている
(買い戻しを拒否した場合は、債権者(被告側の取引先)に債権譲渡通知が発送される可能性があった) - 被告側が売掛債権を買い戻ししているため、不良債権となった場合のリスクをファクタリング会社が負っていない
この件では、ファクタリング会社はファクタリング契約後、利用企業に対して売掛債権の買い戻しをするように迫ったと言われます。
断った場合には、各取引先に債権譲渡通知をすると脅し、取引先からの信用失墜を恐れた被告側は泣く泣く買い戻しを認めることになりました。
したがって、裁判所はこのファクタリング取引は金銭消費貸借契約に当たるとし、ファクタリング会社に手数料の返還を命じたのです。
過払金が請求できるケースとは?
ファクタリング会社への過払金が認められたケースと、認められなかったケースを比較し、どのような場合にファクタリング契約の過払金を請求できるのか、次に考察して参りたいと思います。
チェックポイントを1つ1つ解説していきましょう。
①契約書が存在しないor契約書に債権売買が明記されていない
ファクタリングを実行する際の契約書が存在しない場合は、売掛債権の売買ではなく、売掛金を担保とした貸付であると見なされます。
同様に契約書内に債権売買である分が明記されていないと、金銭消費貸借契約に該当するため、利息制限法を超える手数料について返還を要求することが可能です。
②手数料が高い
利息制限法では、以下のように金利が制限されています。
元本額が10万円未満の借金 → 年利20%パーセントまで
元本額が100万円未満の借金 → 年利18%パーセントまで
元本額が100万円以上の借金 → 年利15%パーセントまで
元本額=売掛債権の金額と考えた場合に、ファクタリング手数料が上記の年利を超えているかどうかチェックしてみましょう。
もしも違法なファクタリング契約であった場合は、制限以上の手数料分が過払金として返還されると期待できます。
ですが、正式なファクタリング契約であれば利息制限法の規制は受けないため、上記の金利を超えていても問題はありません。
【関連記事】ファクタリング手数料の相場と内訳を分かりやすく解説
③2社間取引である
2社間ファクタリングは、ファクタリング会社と利用企業の間でファクタリング契約を行う方法です。
一方の3社間取引では上記に加えて取引先も交え、ファクタリング契約を行います。
3社間取引の場合、ファクタリング会社への支払いは取引先が直接、行います。
買い戻しが前提ではないため、3社間取引である場合は過払金請求をすることは困難となってしまうのです。
④分割払いである
ファクタリング会社への支払いは一括払いが基本です。
もしも分割払いとなると、ファクタリングにかかる手数料が分割払い金利と見なされ、貸金業者ではないファクタリング会社は違法となってしまいます。
にも関わらず、ファクタリング会社に分割払いを要求された場合は、違法なファクタリング取引として過払金を要求することが可能です。
⑤償還請求権がある
償還請求権とは、もしも売掛債権が不良債権となった場合に利用企業がファクタリング会社に弁済をしなければならないというものです。
前述の判例では、債権の売買であるからには未回収となった場合のリスクについても負わなければならないということが述べられています。
そのため償還請求権がある(買い戻しが前提である)ファクタリング契約の場合には、過払い金を請求することができます。
⑥担保・保証人が必要と言われた
⑤で述べたとおり、債権の売買であるからには債権が未回収となった場合のリスクについても負わなければいけません。
にも関わらず、担保や保証人を用意してのファクタリング契約は、これに反します。
1つではなく複数当てはまっているかどうかチェック
以上、ファクタリングで過払金が請求できる条件について解説して参りました。
ただ、どれか1つに当てはまっているからといって確実に過払金の返還が認められるわけではないので、注意してください。
ファクタリングの手数料が高いのは違法ではない?
ファクタリングの手数料の相場は
2社間取引→10%~30%
3社間取引→5%~10%
であり、年利に換算すると100%~200%にもなります。
一見すると、年利20%までと定められた利息制限法に反するように思えます。
しかしながら正当なファクタリングは債権の売買であり、貸金ではないため、利息制限法の規制を受けることがありません。
またファクタリング契約はノンリコース取引であることが一般的で、ファクタリング会社側は債権が未回収となるリスクを負います。
そのため手数料が高いことは、ある意味仕方のないことでもあるのです。
ファクタリングは即日調達ができる、信用情報の審査がないといったメリットがありますが、高い手数料はデメリットと言えます。
ファクタリングを利用する際には、必ずこの点を理解して申し込みをするようにしてください。
ファクタリングの過払金か弁護士か司法書士に相談
違法なファクタリング契約によって高い手数料を支払い、過払金を請求することを考慮しているのであれば、弁護士か司法書士に相談するようにしましょう。
一般的には司法書士の方が費用が安いと言われています。
ただ140万円を超えるファクタリング契約の場合は、司法書士は取り扱うことができません。
この点には注意が必要です。
まとめ
過去にファクタリング手数料が問題となり、悪徳ファクタリング会社が過払金の返還を命じられたという事例が存在します。
しかしながら償還請求権がないファクタリング契約は違法とはいえず、利息制限法の影響を受けることがないため、高い手数料を取られても過払金の返還は認められる可能性が低くなります。
そのためファクタリング契約をする前には、「償還請求権があるかどうか」、「手数料は相場通り」かを必ず確認するようにしましょう。
また担保や保証人を用意するように迫られたなど、諸々の条件が揃えばファクタリング会社から過払金を請求することも可能です。
ただそのような悪徳ファクタリング会社を利用するのではなく、ファクタリング利用時には当サイトでご紹介している安全性が高いファクタリング会社を利用して資金調達をするようにしてください。
個人でもご利用することができる現金調達サービスをご紹介いたします。