絶対にやってはいけない!ファクタリング契約時の架空債権・二重譲渡

ファクタリングは、悪徳業者に被害を受けるケースが目立って取り上げられる傾向にある業界です。

しかし、実は依頼者側がトラブルを起こし、ファクタリング業者が頭を悩ませるという逆の問題も少なからず存在するのです。

本記事は、そのような「依頼者側が起こしてしまう4つのトラブル」を解説いたします。

  • どんなトラブルが起こりうるのか
  • どう重大で、どんな罪に問われるのか
  • なぜやってはいけないのか

など、節度を守ってファクタリングを利用してもらえるよう、詳しく紹介します。

なぜファクタリング利用者によるトラブルが起きるのか?

ファクタリング利用者によるトラブルがなぜ起きるのか?なお、先に述べておくとこのトラブルは「3社間ファクタリング」では仕組み上起きづらいものばかりです。

利用者トラブルの大半は、売掛先を介さない「2社間ファクタリング」で起こっているのです。

2社間と3社間ファクタリングの違い

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いを知らない方もいると思いますので、簡単に説明していきます。

2社間ファクタリングとは、簡単に言えば売掛先に知らせずに債権を売却するファクタリングのことで、債権譲渡通知の代わりに債権譲渡登記を行います。

主に、取引先との関係を悪化させたくない事業者に利用されている手法です。

売掛先に知られない、手続きスピードが早いというメリットを持つ一方、事業者にとってのリスクが上がり手数料が高くなるというデメリットもあります。

対して3社間ファクタリングは、売掛先に通知したうえでファクタリングを行うため、事業者のリスクが下がり手数料も安いという特徴があります。

ファクタリングを実行する事業者の背景、法整備の不足も要因のひとつ

この2社間ファクタリングでトラブルが起きる理由としては、ファクタリングという方法自体がそもそも「融資が受けられない事業者」を対象としているという背景にあります。

融資が受けられない状態、つまり取れる選択肢に限りがある状態では、どうしても冷静さに欠ける行動をとってしまうことが多くなってしまうのです。

加えて、ファクタリングのスキームや制度自体まだ法整備がなされていないという点も問題で、特に2社間ファクタリングは業者、利用者お互いに安全性が確保されていないという側面があります。

誤解を恐れずに言えば、2社間ファクタリングは「お互いの善意・信用にある程度依存したビジネス」のため、そこへ一方が明確な悪意を持ち込むと、途端に健全な取引が難しくなってしまうのです。

ですから、仕方が無いとは言いませんが、トラブルが起きることもあり得るということは頭に入れておく必要があります。

2社間ファクタリングの手数料が上がる要因

さらに言えば、2社間ファクタリングの手数料が高い理由としては、こうした利用者の存在も加味しておかなくてはならないことが挙げられます。

もし、法整備によりファクタリングに上限金利15%〜20%の利息制限法が適用されれば、2社間ファクタリングはビジネスとして成り立たせることが難しくなるのです。

犯罪?あるいは取引停止に繋がる4つのトラブル

不正行為!発覚した場合の4つのトラブル!さて、それでは本題に入りますが、特に、魔が差した利用者側は以下のような行為をやってしまいがちです。

  1. 審査における虚偽の申告
  2. 債権を複数のファクタリング業者に売却する(二重譲渡)
  3. 取引先から入金された売掛金の横領
  4. 架空債権のファクタリング

このうち、虚偽の申告に関してだけはファクタリング業者が気付いた時点で取引を中止すればいいだけなので、他3つと比較すると被害は少なくなります。

しかし、いずれも訴訟を起こされれば間違いなく犯罪として取り扱われる行為です。

続いて、この4つのトラブルに関する具体的な事例と、起こった場合どうなるのかという点について解説していきましょう。

1.審査における虚偽の申告

少しでも債権の買い取り価格を上げたいと思うあまり、審査時に虚偽の申告をしてしまうケースです。

具体的には、売掛先の経営状況や自社の与信にかかわる質問に対し、ウソの返答をしてしまうことが多いようです。

虚偽の申告を止めた方がいい、というのはいうまでもありませんが、そもそも前提としてファクタリング会社は審査の際、

などの信用情報機関に掲載されている情報を利用します。いずれも、会社の基本情報や業績推移から、担保・借り入れ状況まで詳しく掲載されています。

どういった情報が掲載されているか具体的に知りたい方は、各信用情報機関の公式HPを確認してみるとよいでしょう。

要するに、審査に必要な情報はファクタリング業者側ですべて判断可能で、ウソを付いても審査結果が良くなるということは基本的にありません。

それどころか、嘘をついたという事実が悪影響を及ぼす可能性がきわめて高く、取引中止かつ以後同じ業者との取引が不可能になることも免れません。

前述したように、ファクタリングは利用者・業者の双方の善意で成り立つ部分のあるビジネスですから、取引の際に虚偽の申告をするような事業者と取引をするのはリスクが高すぎるのです。

ファクタリングにおいて「正しく申告しない」という行為は、ほぼ100%自分で自分の首を絞める結果になってしまうのでくれぐれも気をつけましょう。

2.債権を複数のファクタリング業者に売却する(二重譲渡)

「二重譲渡」は、一般的に以下のような意味を指します。

二重譲渡(にじゅうじょうと)とは、ある物や権利を他者(第一譲受人)に譲渡した譲渡人が同一物を第三者(第二譲受人)へも譲渡する関係をいう。

つまり、何らかの手違い、あるいは意図的な要因で債権の所有者が2人以上になってしまうことを表します。

ですが、ファクタリングにおける二重譲渡は少々意味が異なり、「1度ファクタリングした債権を別のファクタリング業者に持ち込み、1つの債権を2回ファクタリングする行為」を指します。

通常、1つの債権は1回しかファクタリングができないのは言うまでも無いでしょう。

ですが、売掛金が「現金」ではなく「現金を受け取る権利」という目に見えないものであることを逆手に取り、二重譲渡を行う事業者も少なからず存在します。

本来、1度債権を譲渡した時点で債権はファクタリング業者の所有物となっているため、勝手に譲渡することは「委託物横領罪」に該当し、さらに悪質であれば「詐欺罪」ともみなされます。

この二重譲渡は、後述する「債権譲渡登記」により、契約前に発覚するようなスキームになっているほか、売掛金の支払時に必ず発覚します。

もし、債権譲渡登記を行わなかった場合に、二重譲渡が発覚してしまった場合、どうなるのでしょうか?

とはいえ、これはファクタリング業者側で「債権譲渡登記」または「債権譲渡通知」をすることにより対策されています。

債権譲渡登記、または債権譲渡通知

債権譲渡登記とは、法務省で「○○が○○にいつ債権を譲渡した」という旨を登記することで、公的に債権譲渡の証明をするものです。

基本的に、2社間ファクタリングでは契約前に必ず登記がされていないか調べられます。

一方、債権譲渡通知は3社間において利用され、これはそのまま「売掛債権の支払人に対し、債権譲渡の旨を通知する書類(以降、売掛金は譲渡先に支払うようにという通知)」です。

これにより、もし依頼者が過去に同じ債権でファクタリングしていた場合、登記または通知したことがわかるため、二重譲渡を未然に防ぐことができます。

ですが、ごく一部で債権の登記を抹消してまで二重譲渡を行う事業者も存在しており、大きな問題になっています。

二重譲渡が発覚した場合、売掛先にファクタリングの事実を伝えざるを得ず、取引停止に繋がる

まず、ファクタリング業者はなんとしてでも売掛金を回収するために、支払人である売掛先に直接債権譲渡通知を行います。

それにより、売掛先にファクタリングの事実が伝わり、さらに売掛先はどこに支払えば良いのか混乱してしまいます。

発注先に無断でファクタリングを行われ、さらに迷惑を被らされたとなると、これも取引停止はやむを得ない状況となります。

虚偽申告と同じように、「後々必ず発覚する」ことを覚えておきましょう。

3.取引先から入金された売掛金の横領

2社間ファクタリングは、取引先から依頼者に一旦入金された売掛金を、依頼者からファクタリング業者に入金するという流れで成り立っています。

いわば「依頼者への信頼」を元に成り立っていると捉えることもできますが、ここでも売掛金を支払わないというケースがあります。

先ほど、二重譲渡でも同じことを述べましたが、債権から発生した売掛金も、譲渡された時点で所有権は依頼者ではなくファクタリング業者にあります。

したがって、それを期日に入金せず流用することは契約違反だけでなく「横領罪」とみなされ、刑事告訴の可能性も生じます。

元々は自社のものだったにせよ、売掛先から入金された売掛金は借りているわけでなく「ファクタリング業者と売掛先」の仲介のために入金されたに過ぎません。

そういう状況を勘違いして「魔が差して」しまわないよう、リスクを噛みしめて2社間ファクタリングを利用するようにしてください。

4.架空債権のファクタリング

今回紹介するトラブルの中でもっとも悪質といえるのが、「架空債権のファクタリング」です。

ファクタリング業者がもっとも警戒しているのがこのトラブルで、特に悪質な事業者の中には取引先と共謀して架空債権を作り上げ、持ち込んだ事例もあります。

架空債権の種類としては、主に

  • 偽造、あるいはねつ造した請求書
  • 粉飾した決算書・試算表

が持ち込まれることが割合として多いようです。

債権が架空である証拠は、信用情報をもとに審査してもなかなか見抜けない場合も多く、いわばファクタリングの穴を突いた犯罪ともいえます。

当然、発覚した場合は「私文書偽造罪」および「詐欺罪」など重い刑罰が科せられます。

ただ、もし架空債権の審査が通って売却に成功し、入金されたとしても、支払期日になれば架空債権の売掛金を入金しなくてはならないことは自明の理。

そもそも存在しない売掛金を、期日に支払わなくてはならず、多くの場合それらが支払われることはありません。

ですから、遅くとも支払期日には必ず発覚するのが救いでしょうか。

支払期日に売掛金を支払えば問題ない

とはいえ、架空債権であっても支払期日にちゃんと売掛金を支払いさえすれば、ファクタリング業者としては何の問題もないのです。

もし、あなたが架空債権をファクタリングしてしまった場合、期日までに売掛金を捻出し、正しく返済すれば、少なくとも罪に問われることはないということだけは覚えておいてください。

というよりも、それ以外に方法はありません。

まとめ:追い込まれる前にキャッシュフローの改善を!

キャッシュフローの改善が重要!上記の事例は、いずれも実際に耳にした事例であり、刑事告訴にまで発展しそうになった例もいくつかあります。

解説したように、最終的に売掛金を返済するというスキームが存在する以上、どのトラブルでも必ず発覚し、必ず責任を追及されることを忘れないようにしましょう。

また、このようなことに手を染めてしまわぬよう、日頃からキャッシュフロー改善に取り組んでおくことが重要です。

ファクタリングは正しく申告し、期日どおりに売掛金を返済し、入金されたお金は正しく運用し、キャッシュフロー改善に務めていきましょう。

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