ファクタリング業社が逮捕された訳とは?

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2017年と2019年にファクタリング会社が逮捕された事件を元に、ファクタリングの違法性や注意点を詳しく解説して参ります。

  • ファクタリング業者が逮捕された理由
  • ファクタリングは違法なのか?
  • ファクタリングは貸金に当たるのか?

安全にファクタリングを利用するために、是非ともご参考にしてください。

ファクタリング業者が逮捕!

未成年者の逮捕

中小企業の最後の頼みの綱として多くの経営者の方に利用されているファクタリングですが、中には経営難に陥っている経営者の方を喰い物にしようと考える悪徳業者も少なくありません。

中でも2017年にファクタリング業者が初摘発された事件のせいで、少なからず世間にファクタリングのイメージを悪くしてしまいました。

事件の概要は以下の通りです。

ファクタリング」と呼ばれる売掛債権の買い取り契約を装い、ヤミ金を営んだとして、大阪府警生活経済課は25日、貸金業法違反(無登録営業)の疑いで、東京都中野区の2業者を摘発し、元経営者の三浦和仁容疑者(36)=同区弥生町=ら男8人を逮捕した。府警によると、ファクタリングを装ったヤミ金業者の摘発は全国初。府警は2業者がファクタリングを装いながら、実態は売掛債権を担保に高金利で金を貸し付けていたとみて、出資法違反(超高金利)容疑でも捜査する。
摘発されたのは「東洋商事」と「MINORI」。

府警は、2業者が平成27年秋から28年11月にかけ、資金繰りが悪化した中小企業を中心に全国約250社に総額3億円以上を貸し付け、1億円以上の利益を得ていたとみて調べる。
逮捕容疑は28年5~9月、堺市と三重県鈴鹿市の会社経営者2人に40~50万円を貸し付け、無登録で貸金業を営んだとしている。
三浦容疑者らは「ファクタリングとしての売掛債権の売買であり、貸金業の登録の必要はない」などと容疑を否認しているという。
ファクタリングは中小企業などが保有する売掛債権を買い取り、額面の5~20%を手数料として差し引いて現金を支払うサービス。債権を期日前に現金化できるメリットがある。

*2019年9月25日追記
さらに2019年9月25日にも、東京都内のコンサルティング会社「高橋企画」も、同様にを貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(超高金利)の疑いで逮捕されています。
事件の概要は以下の通りです。

売り掛け債権の買い取りを装い、高利で金を貸すヤミ金を営んでいたとして、千葉県警と岩手県警の合同捜査本部が25日、東京都内のコンサルティング会社社長の男ら11人を貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(超高金利)の疑いで逮捕したことが、捜査関係者への取材でわかった。

(〜中略)

売り掛け債権の買い取りは「ファクタリング」と呼ばれ、債権を早く現金化したい企業が利用している。男らはこの仕組みを装いながら、実際は債権を買い取らずに担保にして金を融資。手数料名目で高い利息を受け取っていたという。

(〜中略)

金融庁によると、ファクタリングを装ったヤミ金に関する被害相談は近年増加傾向にある。高額な手数料をとる手口が目立つといい、同庁は「『すぐに現金化できる』などの文言にのらず、疑わしい場合は相談を」と呼びかける。

ファクタリングに関するトラブルに詳しい東京駅前総合法律事務所の井上裕貴弁護士は「人件費など目先の支払いに困っている企業が手を出している」と指摘。「資金繰りの苦しさからファクタリングを名乗るサービスを安易に利用するのは危険」と話す。(寺沢知海、多田晃子)

2つの逮捕事例の問題点とは

両方の事件に共通していることは、「売掛債権の売買を装い、実際には売掛債権を担保にした貸付であった」という点です。

売掛債権を担保にした貸付とは、単純に債権譲渡担保権設定契約が設定されたファクタリング契約だけではありません。

売掛債権が未回収となった場合に、買い戻し条項がつけられていたり、遡及義務が付けられているファクタリング契約も債権担保融資であると見なされます。

また場合によっては、ファクタリング会社への「分割での支払い」も分割手数料が発生するため融資であると判断される可能性があります。

他には、ファクタリング契約の際に担保や保証人を設定することも、債権売買ではなく違法な貸付です。

くれぐれもファクタリング契約の際にはご注意ください。

【関連記事】ファクタリング申し込み・契約時の注意点を解説

ファクタリングは違法なの?

結論から言ってしまうと、今回摘発に至ったのはファクタリング業者ではありません。

文中にかかれている通り、両方の事件ともに逮捕されたのはファクタリング会社を装った闇金業者です。

したがってファクタリング会社が逮捕されたというのは語弊があります。

きちんと「債権譲渡」という形で行われたファクタリング契約ならば違法性はありません。

近年勃興したファクタリング業界には悪徳業者が少なからず存在します。

また両事件のようにファクタリング業者を装って高金利の貸付を行う闇金業者にも気をつけなければいけません。

資金繰りに切羽詰まっているときは焦燥し落ち着きを失ってしまう状態に陥りがちですが、一旦冷静になって利用前にファクタリング会社が本当に優良業者かどうか確かめるようにしましょう。

ファクタリングの違法性について法的観点から詳しく知りたい方は別記事をご参考にしてください。

ファクタリングは賃金業なのか?

疑問が書かれた黒板

両事件でも大きなポイントとなったように、ファクタリングが貸金なのかどうかは非常に重要な点です。

結論から言えば、ファクタリングは金融機関による融資ではなく、賃金業とは全く異なるものです。

以下の通り、ファクタリングは債権売買であり、貸金ではありません。

【ファクタリングの流れ】
1. 納入先との間に売掛債権が発生
2. 売掛債権をファクタリング会社に譲渡
3. ファクタリング会社から手数料を除いた売掛金が支払われる
4. 納入先から入金後、ファクタリング会社へ支払い

ご覧になって分かる通り、ファクタリングは融資ではありません。

そのため担保や保証人を必要とすることなく、厳しい審査も不要で資金調達をすることができます。

一方でファクタリングは貸金業に該当しないため、利息制限法の規制を受けないという側面もあります。

ファクタリングは高い手数料を設定しても違法にならないため、今回のようにヤミ金や詐欺グループの参入ハードルが低くなっているのです。

まとめ:ファクタリングは安全なのか?

ドアから漏れる光

ファクタリングを装った闇金業者だったとは言え、逮捕者が出てしまったことでファクタリングを利用するのに躊躇いを感じてしまった経営者の方もいらっしゃるでしょう。

それでも売掛債権の早期現金化早期現金化をすることができるファクタリングという金融サービスは今多くの注目を集めており、利用ニーズは増加しています。

とはいえ賃金業法に該当しないため、利息制限法が適用されず、ファクタリング会社が高い手数料を要求してきても違法とはなりません。

今回のようにヤミ金業者や詐欺業者が存在するのも事実です。

そのためファクタリング実行時には、手数料を相場に照らし合わせ、信頼性の高い業者を選ぶようにしましょう。

ファクタリングの手数料の相場は以下の通りです。

  • 2社間取引の場合→15~20%
  • 3社間取引の場合→5~10%

また記事中にも触れられていますが、目先の支払いに追われてファクタリングを利用するのは危険です。

融資やビジネスローンなど、他の資金調達法は利用できないかどうかをチェックし、ファクタリングと比較・検討するようにしてください。