近年、「借りない資金調達法」として多くの中小企業から注目を集めているファクタリング。
そんなファクタリングとは何か、
- ファクタリングの4つの種類
- それぞれのメリット・デメリット
- ファクタリングを利用するケース
を詳しく、分かりやすく解説して参ります。
目次
ファクタリングとは?
ファクタリングとは、企業が有している未払いの売掛金をファクタリング会社に売却して資金調達をするという方法です。
売掛債権を売却することで支払い期日前に売掛金を手にすることができます。
またファクタリングは融資ではないので、利用に即して銀行融資のような厳しい審査が行われません。
したがってファクタリングは
- 銀行融資の審査落ちになってしまった
- 借入はしたくない
というお悩みをお持ちの事業者の方に利用されています。
また申し込みから最短即日で資金調達をすることもでき、信用情報に記録されないというメリットもあります。
ファクタリングの種類
ファクタリングとは、入金期日前の売掛金を売却し資金調達をする手段です。
融資ではないため「借りない資金調達法」として近年、中小企業から注目を集めています。
ファクタリングの仕組みにもいろいろなものがあり、買い取る債権の種類や売買の方法によって以下の4つに分かれます。
- 一括(売買)ファクタリング
- 医療ファクタリング
- 国際ファクタリング
- 保証ファクタリング
ここからさらに、一括ファクタリングは2種類、医療ファクタリングは3種類に細分化されます。
それでは、ひとつずつ確認していきましょう。
一括(売買)ファクタリングとは?
「ファクタリング」と言うと、この一括ファクタリングを指すことが一般的です。
一括ファクタリングは企業が持つ売掛債権を、ファクタリング会社が買い取ることで経営に必要な資金を調達するというファクタリングです。
手形決済、手形割引よりも調達スピードが速く、取引先にバレないなどという特徴があり、急速に知名度を上げています。
一括ファクタリングには2社間取引と、3社間取引という2つの種類がありますので、それぞれの特徴を説明していきましょう。
3社間ファクタリングとは
「ファクタリング」としてもっともポピュラーなのが、3社間ファクタリングです。
- 申し込み会社
- ファクタリング会社
- 売掛先の企業
上記の3社が合意の上でファクタリング契約を行います。
売掛先から債権譲渡の承諾を得て契約を行い、ファクタリング会社への支払いは売掛先が直接支払うのが特徴です。
3社間ファクタリングのメリット
後述する2社間ファクタリングと比較して、3社間には以下のメリットがあります。
- 手数料が安い
- 審査が非常に通りやすい
- 銀行・大手企業のファクタリングも利用できる
3社間ファクタリングは売掛債権が未回収となるリスクが低いため、手数料は安く設定されています。
加えて売掛先が債権譲渡承諾を行い、ファクタリング会社へ支払いを行うため貸し倒れのリスクないというのもメリットです。
そのため銀行や大手企業も3社間ファクタリングを提供しており、安全にファクタリングを実行することができます。
また利用企業の信用情報は殆ど審査されず、3社間ファクタリングは審査が非常に通りやすいという利点があります。
3社間ファクタリングのデメリット
一方で3社間ファクタリングのデメリットは以下の通りです。
- 取引先に資金繰りの悪化を知られてしまう
- 2社間に比べると、資金調達までに時間がかかってしまう
3社間ファクタリングでは売掛先から債権譲渡承諾を得なければいけません。
ファクタリングは資金繰りが悪化した企業が利用する資金調達法であり、ファクタリングの利用を申し出ると
「ファクタリングを利用しないといけないなんて、よほど資金繰りに困っているんじゃないか?」
と勘ぐられ、今後の取引に支障をきたすケースが考えられます。
また3社間ファクタリングは取引先から債権譲渡承諾を得なければならず、ファクタリングまでに時間がかかってしまいます。
2社間ファクタリングとは
売掛先(取引先)を介さず、申し込み会社とファクタリング会社だけでやりとりするのが2社間ファクタリングです。
取引先に債権譲渡通知をする必要がなく、法務局で債権譲渡登記をすることで売掛債権を売却します。
またファクタリング会社への支払いは、取引先から売掛金が入金された後に利用企業が支払いをします。
【関連記事】ファクタリング必須知識!債権譲渡登記とは?手続き・費用や取引先への影響を解説
2社間ファクタリングのメリット
2社間ファクタリングのメリットは、以下の3つです。
- 最短即日でファクタリングができる
- 取引先にバレることなくファクタリングが可能
2社間ファクタリングでは取引先に債権譲渡通知をする必要がないため、最短即日でファクタリングをすることができます。
加えて取引先に資金繰りの悪化を知られることなく、ファクタリングが可能です。
2社間ファクタリングのデメリット
一方、デメリットは、
- 手数料が高い
…3社間ファクタリングの倍以上 - 銀行・大手企業は非対応
…回収リスクが高いため - 未回収リスクが高くなるため、審査が厳しくなる
- 個人事業主は利用不可の会社が多い
…債権譲渡登記ができないから
という点が挙げられます。
2社間ファクタリングについての詳しい仕組み・メリット・デメリットは別記事をご参照ください。
医療ファクタリング
医療ファクタリングとは、医療業界・介護業界関連の売掛債権を使った一括ファクタリングのことです。
主に病院・クリニックの設備投資の際に使われています。
また医療ファクタリングは、買取る債権の業界・種類によって、
- 医療報酬債権ファクタリング
- 介護報酬債務ファクタリング
- 調剤報酬債務ファクタリング
と3種類に名称が分かれます。
また一括ファクタリングとの最大の違いは、国保(国民健康保険)または社保(社会保険)を介した3社間取引が原則であることと、買い取る債権が「診療報酬」であることです。
ファクタリングに使われる診療報酬債権は、以下の債権が一般的です。
- 社保(社会保険)への診療基金
- 国保(国民健康保険団体連合会)への診療報酬
また医療ファクタリングの詳しい解説は別記事をご参照ください。
医療ファクタリングのメリット
医療ファクタリングのメリットは、大きく分けて以下の3つです。
- 売掛先が国家なので審査が通りやすい
- ノンリコースである
- 売掛先の与信が高いため2ヶ月先の売掛金も買い取ってもらえる
- 3社間ファクタリングが利用しやすい
医療ファクタリングの取引先はすべて行政であるため、売掛金が未回収となることはありません。
またファクタリング会社では基本的に、初回利用の場合は債権の買い取りが制限されることが多いのですが、医療ファクタリングでは初回でも2ヶ月先の売掛債権をファクタリング会社に買い取って貰えます。
そのため、初回から比較的大きめの額を調達することが可能です。
医療ファクタリングのデメリット
一方、医療ファクタリングにはデメリットもあります。
デメリットは以下の通りです。
- 診療報酬債権の譲渡に限度がある
- 手数料が高い
初回でも、2ヶ月先までの債権を買い取って貰えると先ほど書きましたが、継続しても基本的には2ヶ月先までです。
そのため、一度にかなり大きな額を調達するのは難しくなります。
国際ファクタリング
国際ファクタリングは日本国内の輸出企業を対象としたファクタリングです。
国際ファクタリングは、他のファクタリングと目的が少々異なり、「海外企業からの輸入代金を確実に回収できる」ことを特徴です。
輸出・輸入には、基本的には「Letter of Credit(L/C)」と呼ばれる、いわゆる信用状を用いますが、銀行を介する信用状は審査が厳しいほか、書類がないとやりとりできないため、回収不能に陥るリスクを拭いきれないなどのデメリットがあります。
国際ファクタリングでは、国内の銀行と海外の銀行が提携するため、海外企業への売掛債権を確実に回収することができます。
国際ファクタリングのメリット
この国際ファクタリングのメリットは、以下の通りです。
- 輸入代金を確実に回収できる
- 信用状(銀行)の審査が必要ない
輸入代金を確実に回収可能という点が、国際ファクタリングを使う大きなメリットです。
他には比較的審査が緩いため、相手の会社がL/Cを拒んでも、現金取引をしなくて済むというメリットもあります。
国際ファクタリングのデメリット
一方、国際ファクタリングには以下のようなデメリットもあります。
- 民間ファクタリング会社が存在しない
2019年現在、国際ファクタリングを取り扱っているのは「みずほファクター」「三菱UFJファクター」の2社のみです。
一括ファクタリングと比べ、会社比較をする余地はないに等しいです。
言わば独占状態であり、手数料は高めに設定されています。
保証ファクタリング
保証ファクタリングは、建設業者を中心に利用されている、「万が一売掛先が倒産しても、債権の入金を保証する」ファクタリングサービスのことです。
買い取りではなく、「売掛金が回収不能」になった際にはじめて支払われる、いわば「保険」のようなサービスです。
一般企業ではあまりメリットが感じられませんが、着工から竣工(入金)まで長いスパンがある建設業界は、竣工までの間に依頼者である売掛先が倒産するリスクを無視できません。
万が一、倒産してしまったとしたら、着工までの間に企業側で負担していた人件費、建設費が丸々赤字になってしまい、倒産というケースもあり得ます。
保証ファクタリングのメリット
保証ファクタリングには、以下のようなメリットがあります。
- ファクタリング手数料が安い
- リスクヘッジに向いている
保証ファクタリングのデメリット
一方、デメリットもあります。
- 選択肢が少ない
- 売り掛け先が倒産しなかったら支払われない
このとおり保証ファクタリングは純粋な資金調達目的で行うモノではありません。
活用方法としては「保険」のようなものであるとお考え下さい。
まとめ:それぞれ適したファクタリング実行を心がける
ファクタリングには以下の4種類があり、いずれも取り扱う債権や対象とする企業が異なります。
- 一括ファクタリング
- 医療ファクタリング
- 国際ファクタリング
- 保証ファクタリング
一般的に「ファクタリング」として知られるのが一括ファクタリングです。
国保/社保から医療報酬保険を買い取るのが「医療ファクタリング」ですが、広義では一括ファクタリングに含まれます。
そのため特に注意として記載されていないない限りは、殆どのファクタリング会社で医療ファクタリングは利用することができます。
一方で「国際ファクタリング」と「保証ファクタリング」は保険という意味合いが強いファクタリングです。
「国際ファクタリング」は、資金調達というよりは、輸出業界において「海外からの債権」という未回収リスクが高い売掛金を、ファクタリングを使うことで確実に回収できるようにするのが目的です。
「保証ファクタリング」は、建設業界の「保険」のような存在です。
着工から竣工(入金)までの長いスパンの間に、もし依頼先が倒産してしまった時、はじめて効果を発揮するファクタリングとなります。
このように、それぞれのファクタリングには、一長一短あり、役割も異なります。
2社間か3社間か、どのファクタリング会社に依頼するか、は事前にリサーチして細かく決めておくよう心がけましょう。
それぞれの特徴を理解し、業界にあった確実な資金調達手法を知識として知っておくことが大切です。
個人でもご利用することができる現金調達サービスをご紹介いたします。