ファクタリングは、あくまで資金調達手法のひとつに過ぎません。
またファクタリング手数料は銀行融資に比べると高いため、他の資金調達法と比較し、経営状況によってどの資金調達方法を利用すべきか比較・検討するようにしましょう。
本記事ではファクタリングを含めた資金調達手法を比較しつつ、ファクタリングがどのような状況で優れているのかを解説していきます。
目次
ファクタリングは「融資・出資・売却」の中でどれに該当するのか?
銀行融資から債権・資産売却など多くの資金調達法がありますが、資金調達法は大きく分けて以下の3つに分類することができます。
- 融資(デットファイナンス)
- 出資(エクイティファイナンス)
- 売却(アセットファイナンス)
このうちファクタリングは「債権という資産」を「買い取ってもらう」手法なので、売却(アセットファイナンス)に分類されます。
ファクタリングは経済用語ではアセットファイナンスとも呼ばれますが、融資と比較して負債に計上されない、審査が緩いといった特長があります。
今回は、この3つの中でよく使われる手法と比較して、ファクタリングを利用すべきかどうか考えていきましょう。
スピーディかつ審査が緩いファクタリング
ファクタリングは、以下のようなメリットを持つ資金調達手法です。
- 審査では売掛先の与信が重要視される
- 赤字業績・税金滞納でも利用できる
- 入金スピードが早い(最短1日〜数日)
- 負債に計上されず、バランスシートを改善できる
- 売掛先が倒産しても返済義務がない(ノンリコース)
ファクタリングの最大のメリットは「審査が緩い」という点です。
ファクタリングは売掛債権を売却することで、資金調達をする方法です。
そのため審査はあれど、利用企業の与信はそれほど重要視されません。
ファクタリング会社にとっては、「売掛先がきちんと支払うか」が重要なので、審査において重要視されるのは売掛先の与信です。
売掛先を介さない2社間ファクタリングであれば、即日~数日で債権を現金化をすることができます。
売掛先も交えて行う3社間ファクタリングでも、数日で入金される会社が増えてきています。
最後に、アセットファイナンスの特徴として、バランスシートのスリム化も可能です。
債権は流動負債に計上されますから、ファクタリングを行って負債を消しておけば、銀行で融資を受ける際にも多少は有利に働くでしょう。
このようなメリットのある一方で、以下のようなデメリットも存在します。
- 手数料がかかる(3社間:5%〜5%、2社間:10%〜30%)
- 債権がなければ資金調達できない
- 3社間の場合、売掛先にファクタリングの事実が知られてしまう
- 少なからず悪徳業者も存在する
ファクタリングの実行には手数料がかかります。特に売掛先に通知されない2社間の場合、ファクタリング会社側のリスクヘッジのため、手数料は高くなる傾向にあります。
加えて、3社間ファクタリングですと売掛先にファクタリングの事実を知られてしまいます。
ファクタリングはまだまだ浸透していませんから、「資金繰りが厳しいのか?」と勘ぐられるリスクも無視できないのです。
続いて、これらが「融資」「出資」と比べてどうなのかを解説していきましょう。
「融資」を受ける資金調達手法(デットファイナンス)
資金調達手法で最初に考えるのが「融資」でしょう。主に採用される手段には、以下のようなものがあります。
- 銀行融資
- 公的融資
- ビジネスローン
- 手形割引(でんさい)
- ABL(流動資産担保融資)
では、これらをファクタリングと比較しつつ、簡単に解説していきましょう。
①銀行融資・公的融資
資金調達でもっともメジャーなのが、銀行融資でしょう
簡単に解説しておくと、銀行融資はファクタリングと比較して、以下のような長所があります。
- 金利が安い
- 債権が無くても、一度に多くの額を調達できる
金利面を考えると「審査に通るのであれば」、銀行融資を受けた方がいいのは言うまでもありません。
ただ融資の可決が出るまでに時間と手間がかかりますので、急な支払いに追われているのであればファクタリングを利用したほうがいいでしょう。
【関連記事】ファクタリングと銀行融資はどちらがおすすめ?特徴と種類を詳しく解説
②ビジネスローン
中小企業向けの融資手段としては、「ビジネスローン」の利用も検討できます。
ビジネスローンは無担保・無保証人で借りることができ、ファクタリング同様に即日調達も可能です。
特にファクタリングでは制限が多い個人事業主の方であれば、ビジネスローンは有力な選択肢になるでしょう。
一方、金利は平均して6%~18%と、銀行や公的融資と比較してかなり高めに設定されています。
【関連記事】ビジネスローンとファクタリングを比較!どちらがおすすめ?
③手形割引(でんさい)
手形割引とは、「売掛債権を担保に振りだした手形を、銀行で換金する」資金調達方法です。
ファクタリングと比較して、以下のような特徴を持ちます。
- 割引率は低い(2%~5%)
- 手続きが煩雑
- 融資にあたるため、審査が厳しい
- 不渡りリスクがある(売掛先が倒産したら、返済しなくてはならない)
詳しくはファクタリングと手形割引のメリット・デメリットを解説した記事をご確認ください。
近年では、電子債権(でんさい)によるファクタリングも登場しており、こちらはかなり手軽です。
④ABL(流動資産担保融資)
ABL(流動資産担保融資)は、手形割引と似たようなものですが、こちらは「売掛債権を担保にしたローン」です。
したがって利用企業の信用が重要視される点と、手形割引と同じくノンリコースではない点が特徴として挙げられます。
ただABLでは売掛金の状況さえ良ければ、債権の支払金額よりも多くの金額を調達できる場合もあります。
当然ですが、ファクタリングでは債権の支払額より多くの資金を調達することができませんので、そうした場合にABLは検討すべき手段といえるでしょう。
【関連記事】ファクタリングと売掛債権担保融資(ABL)の違いを解説
「出資」を受ける資金調達手法(エクイティファイナンス)
資本を元に資金調達をするのが「エクイティファイナンス」、いわゆる出資を受ける手法です。
手早く出資を受ける手段としては、以下のようなものが考えられるでしょう。
- ベンチャーキャピタル
- 第三者割当増資
そのほか、IPOやM&Aなども「出資」の枠に入ります。
さらに言えば、最近注目を集めているクラウドファンディングも出資に当たります。
出資は融資ではないため、返済の必要がない資金として調達できる場合があり、ケースによっては高額な資金調達を得ることも考えられます。
ただ全ての企業が出資を利用できるわけではありません。
また短期で資金を都合したい場合は、そもそも「出資」自体が不向きです。
多くの資金調達手段と比較しても、すでに事業を開始していて、かつ資金繰りに困った企業に向けた「出資」はないのが現状です。
上述した「融資」や、資産の売却などの方向で検討すると良いでしょう。
売却(アセットファイナンス)で負債・支出を減らす
このほか、不良在庫を売却して管理コストを減らしたり、営業権を売却したりするなど、資産を元にした資金調達(アセットファイナンス)も、短期での資金調達には有効です。
先ほど述べたとおり、ファクタリングも資産をもとに負債を減らしているのには変わりありませんので、第一に検討すべき手段でしょう。
【関連記事】ファクタリングでオフバランス化が可能?仕訳方法を解説
まとめ:ファクタリングと比較すべき手法
まとめると、短期での資金調達に向いているのは、以下のような手法です。
- ビジネスローン
- ファクタリング
- 不良在庫・営業権などの売却
即日で資金調達は、ビジネスローンやファクタリングを検討すべきでしょう。ただ、上記2つは手数料がそれなりにかかってしまいます。
多少時間がかかってもよいので、金利を抑えて調達したい場合だと以下の手法が検討できます。
- ABL(流動資産担保融資)
- 手形割引(でんさい)
- 銀行・公的融資
上記の中から、比較検討しつつ最適な資金調達手法を検討してみてはいかがでしょうか。
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