診療報酬債権・介護報酬を現金化する医療ファクタリングについて詳しく解説して参ります。
- 医療ファクタリングとは何か
- 医療ファクタリングのメリット・デメリット
- 医療ファクタリングの利用方法
などを詳しくご紹介して参りますので、ご参考にしてみてください。
目次
医療(診療報酬)ファクタリングとは?
医療ファクタリングとは、「社会保険医療基金(社保)」や「国民健康保険団体連合会(国保連)」が医療機関に支払う診療報酬(医療債権)を、ファクタリング会社に債権譲渡(=売却)することで、診療報酬債権を支払日前に現金化する資金調達方法です。
診療報酬は患者が30%を支払い、残りの70%が健康保険で社保や国保連から支払われる仕組みになっています。
しかしながら70%分の医療費の支払いは、診察から翌々月末払いのため最大で2ヶ月近くの時間がかかります。
そこで医療ファクタリングを利用すれば、2ヶ月分先の支払いである診療報酬を今すぐに現金化することができ、キャッシュフローが大幅に改善することができます。
医療機関・介護事業者・調剤薬局などの債権が対象
医療ファクタリングによって現金化できる債権は、以下のような物があります。
- 診療報酬債権(医療機関)→診療報酬債権ファクタリング
- 介護報酬債権(老人ホーム・介護機関)→介護報酬債務ファクタリング
- 調剤報酬債権(調剤薬局)→調剤報酬債務ファクタリング
上記の通り、医療ファクタリングは買取対象となる売掛債権の種類によって、呼び名が異なります。
3つのファクタリングをまとめて、「医療(診療報酬)ファクタリング」と呼ぶのです。
医療ファクタリングは年々知名度を増している
社会保険診療報酬支払基金によると、医療報酬債権の譲渡件数は年々増えています。
平成25年度には4940の医療機関が約418億円を、平成27年度には5578の機関が約473億円の医療報酬債権を現金化しています。
主に開業したての医療機関や、設備増築前など、診療報酬ファクタリングは医療機関の間でメジャーな資金調達手法になりつつあります。
医療ファクタリングと一括ファクタリングの違いとは?
一括ファクタリングと医療ファクタリングは厳密には同じです。
より詳しく言うと、一括ファクタリングの中に医療ファクタリングが含まれています。
ただ一括ファクタリングと比較すると医療ファクタリングには以下のような特徴が挙げられます。
- 医療報酬債権を買い取る
- 取引先の信用リスクがない
それでは、詳しく説明していきましょう。
【関連記事】ファクタリングとは?4つの種類のメリットやデメリット・仕組みを解説
①「医療報酬債権」を買い取る
上記で説明したとおり医療報酬ファクタリングでは、「医療報酬債権」のみが買い取りの対象となります。
ただ医療ファクタリングと一括ファクタリングに違いはないため、ほぼ全てのファクタリング会社で医療報酬債権を買い取ってもらうことが可能です。
②取引先の信用リスクがない
ファクタリングは銀行融資が受けられない企業が利用する資金調達方法です。
そのため取引先に債権譲渡通知を行いファクタリングを行う3社間ファクタリングでは、取引先から信用を失ってしまうというリスクが少なからずあります。
ただ医療報酬債権の売掛先は、国保や社保です。
国保・社保とは取引に支障がでる、信頼関係を築くといった関係性ではないため、医療ファクタリングにおいて「信用リスク」は皆無と言えるでしょう。
安心してファクタリングを利用することができます。
医療(診療報酬)ファクタリングのメリット
医療報酬ファクタリングを行うメリットは、以下の通りです。
- 手数料が安い
- 審査が通りやすい
- 融資とは違い、ノンリコース(償還請求権)なし
- 早ければ即日~数日で現金化可能
- 初回でも二ヶ月分一気に買い取ってくれる
それでは、ひとつずつチェックしていきましょう。
①手数料が安い
ファクタリング手数料は、売掛先の信用情報などによって左右されます。
売掛金が未回収となるリスクがあると、手数料は高くなってしまいます。
一方で診療報酬債権の売掛先は、国保・社保です。
売掛先としての与信はトップクラスに高く、債権が未回収となることはほぼありません。
そのため医療ファクタリングの手数料は通常のファクタリングに比べて高いというメリットがあります。
【関連記事】ファクタリング手数料の相場と内訳を解説!金利が暴利は本当?
②審査が通りやすい
繰り返しになりますが、医療報酬債権の売掛先(国保・社保)の信用は非常に高いため、医療ファクタリングは審査に通りやすいというメリットもあります。
ファクタリングの審査では売掛先の信用情報が最も重視されます。
そのため医療ファクタリングならば、銀行融資に断られてしまった場合でも問題なく利用することができるでしょう。
【関連記事】銀行融資とファクタリングのメリット・デメリットを比較
③ノンリコース(償還請求権なし)
売掛金担保融資の場合、売掛金を回収できなかった場合には返済義務を負う必要があります。
一方でファクタリングはノンリコース(償還請求権がない)であるため、売掛債権を譲渡した後に債権が未回収となっても、返済する義務はありません。
④多額の資金調達ができる
医療ファクタリングは2ヶ月分の診療報酬債権を売却し、手にすることができます。
そのため2ヶ月分の売上を手にすることができ、多額の資金調達をすることが可能です。
⑤最短即日でファクタリングが可能
ファクタリングは、銀行融資よりも調達までのスピードが早く、最短即日でファクタリングが可能です。
加えて医療ファクタリングは売掛先、利用企業(医療機関)の信用力が高いため、審査が簡易的です。
そのため通常のファクタリングよりも速いファクタリング契約が期待できます。
【関連記事】即日でファクタリングをする方法や優良会社の選び方を徹底解説
医療(診療報酬)ファクタリングのデメリット
医療ファクタリングのデメリットは以下の通りです。
- 掛け目が平均80%程度
- 取引銀行に資金繰りの悪化を察知される
- 2ヶ月分までしかファクタリングできない
それでは、解説していきましょう。
①掛け目が平均80%程度
「医療ファクタリング」の掛け目は平均80%程度です。
診療報酬債権は未回収となる可能性はゼロですが、レセプト審査で申請金額が全額認められるわけではありません。
診療報酬が認可されない可能性もあるため、100%の売掛債権をファクタリングすることは不可能となっています。
②取引銀行に資金繰りの悪化を察知される
三菱UFJはグループ会社である「三菱UFJリース株式会社」で、診療報酬債権ファクタリングを行なっています。
メガバンク直結ということで安全性は高いものの、三菱UFJ銀行に資金繰りの悪化を知られてしまいます。
将来的な融資審査に何らかの影響を及ぼす可能性は否定できません。
このようなリスクがあるため、銀行系ファクタリングの利用は控えた方がいいでしょう。
③ファクタリング手数料の分、利益は減ってしまう
ファクタリング会社に診療報酬債権を売却する際には、買取手数料が発生します。
手数料の分、本来得られるはずだった利益は減ってしまい、経常利益は少なくなってしまいます。
ファクタリング手数料は銀行融資の金利手数料に比べると遥かに高いため、長期的なご利用はお勧めできません。
【関連記事】2社間ファクタリングで審査に通過&手数料が安くなるコツとは?
医療ファクタリングの利用方法・必要書類
続いて医療ファクタリングの利用方法を詳しく解説して参ります。
医療ファクタリングをご利用の際には、通常のファクタリング必要書類と異なりますので、注意してください。
まず医療ファクタリングを申し込みの前に、以下の書類を用意しておきましょう。
○医師免許証
○印鑑証明書
○保険医療機関指定通知書
○診療報酬決定通知書
○会社謄本
○介護給付等支払決定額通知書
○印鑑証明書
○保険医療機関指定通知書
○会社謄本
○調剤報酬等支払額決定通知書
○印鑑証明書
○会社謄本
上記書類以外にも、2期分の決算書や納税証明書を求められることもあります。
即日でファクタリングをご希望される場合には、上記必要書類は予め用意しておきましょう。
続いて医療ファクタリングの利用方法を詳しく解説して参ります。
STEP① ファクタリング会社に申し込み
医療ファクタリングは一括ファクタリングの中に含まれていますので、通常のファクタリング会社ならば医療ファクタリングを行うことができます。
ファクタリング会社の公式サイトより、メールフォームの入力・送信をしてお申し込みください。
優良ファクタリング会社の選び方は別記事をご参照ください。
STEP② 必要書類提出・審査
上記の必要書類を提出後、簡単な審査が行われます。
ただ医療ファクタリングの審査はほぼ簡易的で、「診療報酬等支払額決定通知書」があれば、確実にファクタリングが可能です。
赤字業績、税金滞納をしている場合でも、審査落ちにはなりませんので、ご安心ください。
STEP③ ファクタリング契約
審査後、具体的な買取条件(手数料・入金日・支払い日時)が提示されます。
買取条件に不満がなければ、ファクタリング契約が行われます。
契約書に捺印すると、指定した銀行口座へ診療報酬の買取代金が入金されます。
STEP④ ファクタリング会社へ支払い
2社間ファクタリングをご利用の場合には、入金された診療報酬をファクタリング会社へとお支払いください。
3社間ファクタリングをご利用の際には、国保・健保が直接、ファクタリング会社へと支払いを行います。
以上で医療ファクタリングは完了です。
医療ファクタリングの口コミ・評判
最後に、医療ファクタリングをご利用した方々の口コミ評判をご紹介して参ります。
個人開業でも利用できました 北海道 44歳 個人開業医
個人開業医のため、銀行融資の審査が厳しく、設備増築のための資金集めに苦心していました。そこで「借りない資金調達法」と言われるファクタリングを利用することに。無事にファクタリング契約を結んでいただき、感謝しています。
介護ファクタリングを利用しました 東京都 52歳 介護業
通所介護を1年ほど前に立ち上げましたが、入居者集めに苦労し、キャッシュフローが悪化してしまいました。介護士の給料を支払うために、介護ファクタリングを利用しました。2社間ファクタリングだったので申込日に資金調達ができ、とても助かりました。
2ヶ月分の売上を現金化でき、設備刷新 福岡県 49歳 歯科医
チェアーユニットの一新を考えていたのですが、資金捻出に悩んでいました。増税により来院患者数が減少していたので、資金繰りは悪化。
そこで2ヶ月分の診療報酬を現金化できるファクタリングを活用することにしました。
無事に古かったチェアーユニットを取り替えることができ、経営も上向きそうです。
まとめ
医療報酬ファクタリングは、掛け目と手数料分の費用がかかるとはいえ、高額な機材の導入など、多額の資金が必要になった際に活用できる資金調達方法です。
特に売掛先の与信が高いため、ファクタリング会社としても優良客として扱ってくれることが期待できます。
医療報酬債権であれば、高値で買い取ってくれる業者も多いため、検討してみてはいかがでしょうか。
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