一括割引と個別割引

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ファクタリング契約によって、ファクタリング会社に売掛債権を譲渡する場合、ファクタリング会社から支払われる売掛金の買取代金の支払い方法には、2種類あります。

それが一括割引方式と、個別割引方式の2つです。

本記事では、一括割引方式と個別割引方式とは何か、それぞれの違いやメリット・デメリットについて詳しく解説して参ります。

一括割引方式とは?

一括割引

一括割引方式とは、ファクタリング契約成立日もしくは指定した日に、ファクタリング会社が売掛金の全額を一括で支払う方法のことです。

一括割引方式は、スタンダードなファクタリングの支払い方法であり、特に指定をしなければ2社間取引でも3社間取引でも関係なく一括割引方式にて買取金額が支払われます。

例えば100万円の売掛金を10%の手数料でファクタリングする場合、90万円がファクタリング会社から、利用企業に一括で支払われることになります。

支払日は売掛金が入金されるまでの範囲内でしたら、指定することができます。

ただあまりに長期間ですと、ファクタリング会社の方から断られてしまう場合もあるので注意してください。

一括割引方式のメリット

一括割引方式のメリットとしては、以下の点が挙げられます。

  • 最短即日で、売掛金を受け取ることができる
  • まとまった額が入金される

上記のようなメリットがあるため、一括割引方式ならば急な資金ショートにも対応することができます。

一括でまとまった金額を受け取ることもできるため、仕入れ費用や人件費などにも活用することが可能です。

一括割引方式のデメリット

一括割引方式のデメリットとしては、使い込みをしてしまいやすいということが挙げられます。

まとまった額の資金調達が可能であるため、不必要な出費を招き、キャッシュフローの悪化を招いてしまう恐れがあります。

ファクタリングで得た資金がすぐに無くなり、売掛先から入金された売掛金も使ってしまうというのはよくあるファクタリングの失敗例です。

入金された売掛金を使ってしまうと、ファクタリング会社への支払いをすることができなくなってしまいます。

くれぐれも、ご注意ください。

【関連記事】ファクタリング契約後に債権が不渡り・不良債権になった場合の解説

個別割引方式とは?

個別割引

一方の個別割引方式とは、売掛金の金額内で売却(=現金化)する金額を自由に設定し、必要な分の金額だけが支払われるという方法のことです。

例えば100万円分の売掛債権を保有していた場合、今週は100万円のうち20万円だけを買い取ってもらい、手数料を引いた金額を入金してもらいます。

さらに翌週に50万円が必要になったので、60万円分の売掛債権を買い取ってもらい、支払いをお願いすることができます。

個別割引方式では、売掛金の範囲内で「支払い回数」、「買取金額」、「支払日」を自由に決めることが可能です。

そのため資金ニーズに合わせて、自由に資金調達することができます。

手数料については、支払い毎に変動するのではなく、最初の契約段階で、一律で設定されます。

個別割引方式のメリット

個別割引方式のメリットとしては、必要に応じて資金を得ることができるため、使い込みなどを防ぎ資金繰りを改善させることができます。

またファクタリングしなかった分の売掛債権に関しては、手数料は発生しません。

現金化する売掛金の金額を自由にコントロールすることができるため、手数料の支払総額も設定することが可能です。

個別割引方式のデメリット

個別割引方式ですと、ファクタリング会社はいったい総額いくらの手数料を得ることができるのか、支払い総額はいくらになるのか、支払日がいつになるのかを把握することができません。

ファクタリング会社側のキャッシュフローに影響があり個別割引方式はリスクが高いため、手数料が高いというデメリットがあります。

そのためもとより手数料が高い2社間取引ファクタリングでは、手数料がさらに高くなるため利用することは現実的ではありません。

貸し倒れのリスクもあるため、2社間取引では個別割引方式に対応しているファクタリング会社はほとんど存在しないでしょう。

一括割引方式と個別割引方式の違いは?

2つのコーヒー

続いて一括割引方式と個別割引方式の違いについて見ていきましょう。

それぞれの違いは、以下の3点が挙げられます。

  • 手数料
  • 支払タイミング・回数
  • 2社間・3社間取引との兼ね合い

順に解説して参ります。

違い①手数料

前述の通り、ファクタリング会社側にもデメリット・リスクがある個別割引方式の方が、一括割引方式よりも手数料は高くなります。

ファクタリング手数料は売掛債権の金額や売掛先の信用情報によっても変動するため、一概にどのくらい高くなるとは言えません。

それでも場合によっては3%から6%程度、手数料が高くなることもあります。

ファクタリングの最大のデメリットは手数料がかかるという点にあり、長期的なキャッシュフローを考えると、なるべくならば手数料は抑えたいものです。

【関連記事】ファクタリング手数料の相場と内訳を分かりやすく解説

違い②支払タイミング・回数

一括割引方式では、文字通り支払い回数は一括であり、契約日もしくは指定日に全額が支払われます。

一方の個別割引方式では、ファクタリング利用企業が売掛債権の範囲内で自由に支払い金額や回数を設定することができます。

資金ニーズや必要金額によって、一括割引方式か個別割引方式かを選択するようにしましょう。

違い③2社間・3社間取引との兼ね合い

利用企業とファクタリング会社の2社間のみで契約を行う2社間取引の場合は、基本的には一括割引方式のみしか支払い方法を選ぶことができません。

これはファクタリング会社側のリスクを減らすためであり、また手数料の高さから敬遠されがちという実情があるためでもあります。

一方で売掛先をも交えて契約を行う3社間取引の場合では、一括割引方式と個別割引方式の両方を選択することができます。

理由としては、3社間取引の方がもとより手数料が低く、また売掛先からファクタリング会社へと支払いが行われるため、貸し倒れリスクも低くなるからです。

【関連記事】ファクタリングの3社間・2社間の違いと仕組みを解説

それぞれの利用ケース

イノベーション

最後に、一括割引方式と個別割引方式のどちらを利用すればいいのか、それぞれの利用ケースについてご紹介していきます。

一括割引方式の利用ケース

  • 最短即日で資金が必要
  • まとまった金額の資金が必要
  • 手数料を低く抑えたい

個別割引方式の利用ケース

  • 支払う手数料の総額をコントロールしたい
  • 資金用途・ニーズに合わせてその都度ファクタリングをしたい
  • 保有している売掛債権全額は債権譲渡したくない

まとめ

各国の時計

ファクタリング会社からの入金方法は、「一括割引方式」と「個別割引方式」の2つがあります。

一括割引方式はまとまった金額を一括で受け取ることができ、個別割引方式では資金ニーズに合わせて資金調達をすることができます。

それぞれメリット・デメリットがあり、手数料や支払いタイミングに違いあるため、どちらを利用するかは自社の経営状況や資金ニーズに合わせて選択するようにしてください。

また特に指定がなければ、一括割引方式での支払いになります。その点にも注意が必要です。