通常はファクタリング取引においては消費税がかかることはありません、ファクタリングでの手数料に消費税を上乗せするような悪徳業者には注意が必要です。その理由について、詳しく解説して参ります。
また経理上で気になる「課税売上割合」とファクタリングの関係性についても分かりやすくお伝えしていきます。
目次
消費税の仕組みをおさらい
消費税とは、商品の購入やサービスの利用などの消費一般に関係する取引において発生する税金のことです。
間接税ですので、消費税は消費者が支払いますが、納税は事業者が行います。
また消費税が二重課税となることを防ぐために、事業者が仕入れの際をする際に発生した消費税に関しては、差し引いて納税をする必要があります。
例えば、事業者が1万円で販売する商品を5000円で仕入れていた場合、事業者が納める消費税は
「1万×1.08%ー5000×1.08%=400円」となります。
製造業者や小売業者がさらに複雑に入り込むと、消費税の計算も複雑になるので、重課税担っていないかどうか、注意しなければいけません。
課税される取引・非課税になる取引がある
消費であっても、課税される取引と課税されない非課税取引があります。
その分類は国税庁によれば、
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行うと取引を課税の対象としているが、消費に負担を求める税としての性格から課税の対象として合わない消費や社会政策的配慮から、課税しない取引が定められている
引用元:国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)/消費税 No.6201 非課税となる取引より
と定義されています。
要約すると、「消費に負担を求める税としての性格から課税の対象として合わない消費」と「社会的政策配慮から、課税しない」という2つが非課税となります。
それぞれ、具体的には以下の通りです。
- 土地の譲渡及び貸付け
- 有価証券等の譲渡
- 支払手段の譲渡
- 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
- 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡
- 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
- 国等が行う一定の事務に係る役務の提供
- 外国為替業務に係る役務の提供
- 社会保険医療の給付等
- 介護保険サービスの提供
- 社会福祉事業等によるサービスの提供
- 医師、助産師などによる助産に関するサービス
- 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
- 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
- 学校教育
- 教科用図書の譲渡
- 住宅の貸付け
全17個もある、非課税取引の一覧ですが、ファクタリング取引において関連するのは「消費に負担を求める税に合わない消費」の項目の2番目、「有価証券などの譲渡」です。
それでは次に、ファクタリングに消費税がかからない理由について詳しく見ていきましょう。
ファクタリングに消費税がかからない理由
非課税取引である「有価証券等の譲渡」について、国税庁の詳しい説明を見てみましょう。
国税庁によると、有価証券等の譲渡は以下のように定義されています。
有価証券等の譲渡
国税庁/タックスアンサー(よくある税の質問)/消費税主な非課税取引より引用
国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡
ただし、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たりません。
有価証券というと株券などが真っ先に浮かびますが、ご覧の通り売掛金や手形に代表される金銭債権も、有価証券に含まれるのです。
ファクタリングは売掛金を債権譲渡することによって、資金調達をする方法です。
売掛債権は非課税取引である有価証券に分類されるため、ファクタリング取引では消費税はかからないということになります。
ファクタリング利用時には課税売上割合に要注意!
ファクタリングは課税対象外取引であるため、利用企業は消費税負担をする必要がありません。
ただ、ファクタリング利用時には消費税の代わりに「課税売上割合」に注意する必要があります。
消費税の納付額は、仕入れに関わる消費税額を控除して計算し、納税します。
しかしながら消費税額によっては全ての仕入れに関わる消費税額を控除できるわけではありません。
そこで、控除額を決定するのが「課税売上割合」です。
課税売上割合とは、売上高に対して消費税の課税額が占める割合のことです。
課税売上割合=(課税売上高+免税売上高)÷(課税売上高+非課税売上高+免税売上高)
という計算式で求めることができます。
課税売上割合の基準は95%
課税売上割合の基準となるのは、95%です。
簡単にいうと、
課税売上割合が95%以上→支払った消費税が全額控除される
課税売上割合が95%未満→個別対応方式か一括比例配分方式に則って消費税額を計算
となります。
個別対応方式と一括比例配分方式の詳しい説明は省きますが、
- 個別対応方式は、計算が複雑だが、多くの額の消費税を控除できる
- 一括比例配分方式は計算が単純だが、控除額は少ない
ということだけは理解しておいてください。
なぜファクタリング利用時に注意しなければいけないのか?
なぜファクタリングを利用した場合は、課税売上割合に注意しなければいけないのでしょうか?
繰り返しですが、ファクタリングは非課税取引です。
そのためファクタリングを利用すると、課税売上割合の計算式
課税売上割合=(課税売上高+免税売上高)÷(課税売上高+非課税売上高+免税売上高)
の分母である「非課税売上高」が大きくなってしまいます。
分母が大きくなると、課税売上割合が95%未満になってしまう可能性があり、消費税控除額を再計算する必要があると思ってしまいます。
ただこれは大きな誤りであり、実際にはファクタリングを利用したからといって、、消費税控除額を再計算する必要はありません。
なぜならファクタリングは資産の譲渡として取得したものです。
資産譲渡による売上高は、非課税売上高に含む必要がありません。
回りくどい言い方になってしまいましたが、ファクタリングは非課税取引であり、また資産の譲渡であるため非課税売上高に含める必要もないため、消費税控除額が変わる心配は不要です。
消費税を手数料に上乗せするファクタリング会社は悪徳業者!
ファクタリングは非課税取引です。
そのためファクタリング会社から、消費税分を請求されることはありません。
しかしながらファクタリング会社の中には、「ファクタリング手数料:10%(税別)」というように、消費税を手数料に上乗せして、消費税分も多く請求しようとするケースがあります。
このようなファクタリング会社は間違いなく、悪徳会社であり、絶対に注意しなければいけません。
被害を防ぐために、請求書や見積書の中に「消費税」という項目がないかどうか、手数料に税別・税込などと書かれていないかどうかをチェックするようにしてください。
【関連記事】ファクタリングの悪徳業者を見分けるポイントと対策
ファクタリングの利用時に消費税がかかるケース
ファクタリング自体は非課税取引となりますが、ファクタリング利用時に消費税が発生するケースもあります。
そのような場合では、消費税をきちんと納税しなければいけませんので、注意してください。
具体的には、以下のケースで消費税が発生します。
- 債権譲渡登記のために司法書士を利用し、報酬を支払った
一方で以下に関しては税金となるので消費税はかかりません。
- 印紙代
- 登録免許税
これらの代金はそれぞれ課税項目、非課税項目に分けなれければいけませんので、注意してください。
まとめ
売掛債権は有価証券に分類されます。
税法上、有価証券の譲渡は非課税取引に該当するため、ファクタリング取引において消費税は発生しません。
またファクタリングを利用すると、非課税売上割合が95%を下回り、消費税の再計算をしなければいけないという心配も不要です。
しかしながら、ファクタリングの手数料に消費税を含めて利用者から不当にお金を得ようとする悪徳業者には注意しなければいけません。
ファクタリング会社をお選びの際には、くれぐれも実績がある優良ファクタリング会社を選ぶようにしてください。
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