債権を現金化するファクタリングは、「売掛債権」が対象です。
では、売掛債権のほかにはどんな債権があるのでしょうか?また、売掛債権はその中のどのグループに位置付けられているのでしょうか?
本記事では、債権についての理解を深めるべく、
- 債権とは?
- 発生原因で分かれる4種類の債権
- 給付内容で分かれる5種類の債権
- 金銭債権を確実に回収する方法
について、解説していきます。
これを読めば、債権についての理解が深まり、もし不渡りになりそうな場合でも対処できるようになります。
目次
「債権」についておさらい
債権とは、一方の人がもう一方の人に「給付を要求できる権利」のことです。この債権を持つ側の人のことを「債権者」と呼びます。
逆に、債権者に対して「給付を行う義務」は債務と呼び、この義務が課せられている人は「債務者」と呼ばれます。
この「給付」の内容は一般的に金銭が多いですが、別に金銭でなくてはいけないという決まりはありません。
ただ、ファクタリングにおいては金銭の支払いを要求できる権利である「金銭債権」のみが、原則買い取り対象となります。
「発生する原因」で分かれる4種類の債権
「債権」には、大きく分けて4つの発生原因がありますが、そのうちファクタリングに利用できるのは1つしかありません。
- 合意のうえでの契約で発生する債権(約定債権)
- 事務管理・不当利得・不法行為で発生する債権(法定債権)
このうち、ファクタリングに利用できるのは「約定債権」のみ。法定債権は利用できません。
もっとも、生きていく上では「法定債権」を目にすることはほとんどないので気にしなくてもかまいません。
これより重要なのは、続いて説明する5種類の区分の債権です。
「給付の内容」で分かれる5種類の債権
発生する原因で分けられる債権に加えて、債権は給付の内容でまた内容が変わります。
「債権」は金銭以外の物でも発生していると先ほど説明しましたが、それには以下のようなものがあります。
- 特定物債権
- 種類債権(不特定物債権)
- 金銭債権
- 利息債権
- 選択債権
では、順に説明していきましょう。
特定物債権
土地や物件、あるいは車や中古品のように、特定の物品をピンポイントで給付する内容の債権が「特定物債権」にあたります
たとえば、車を買ったとしましょう。
購入した車は、値段や数量だけでなく、購入した店や車種、グレードやオプションの内容も決まっていますよね。
こうした、個性のある「特定物」の給付を受ける権利のことを特定物債権と呼びます。
種類債権(不特定物債権)
一方で、「○社製の車ならなんでもいい、置いてあるものを1台買う」と言って買った場合はどうでしょうか。
この場合、「数量とおおざっぱな種類」のみを指定している(物の個性にこだわっていない)ので「種類債権」となります。
さらに身近な例で言うと、「水を100リットル受け取る」のようなものも種類債権に当てはまります。
これが「○○社が作った○○の天然水」という指定になれば、特定物債権ですね。
なお、「○○の倉庫にある水を100リットル受け取る」に変わった場合、「制限種類債権」となります。
金銭債権
金銭の受け取りを目的とする債権。代金債権、貸金債権、売掛債権などがこれにあたります。
ファクタリングで買い取りの対象となるのは、この「金銭債権」のみ。
なお、法律上では「金種債権」と呼ばれるものも存在し、扱いが異なります。
これは、金銭であっても「日本円以外」の金銭、つまり外貨や骨董的価値のある古銭などの給付が目的となっている債権です。
一定額を指定した種類の現行通貨で給付する債権を「相対的金種債権」、特定の種類の金銭(骨董品など)で給付する債権は「絶対的金種債権」です。
少しわかりにくいですが、以下のような解釈で居ればOK。
- 現行通貨(日本円)を受け取る債権→金銭債権
- 外貨や古銭などを受け取る債権→金種債権
このうち、ファクタリングに利用できるのはもちろん金銭債権です。
利息債権
その名の通り、利息の支払いを目的とする債権です。
利息債権には区分が2つあります。
- 元本に対して一定の利息が発生する「基本債権」
- すでに弁済期をむかえた各期の利息を目的とした「支分権としての利息債権 」
利息債権は、基本的に元本である「元本債権」が存在したうえで成り立っています。
また、利息は元本から発生する収益なので、金銭債権とは区分が違うのも特徴です。
選択債権
選択債権とは、給付内容を複数から選択できる債権のことを指します。
たとえば金銭でも土地でもいいという場合、これは特定物債権でも金銭債権でもなく「選択債権」となります。
さらに「Aの本またはBの本のどちらかを給付する」場合も、債権者が内容を選べるので選択債権となります。
給付内容を2つ以上から選択できる場合は、いずれのケースでも選択債権であると捉えておけば問題ないでしょう。
ファクタリングできる債権は「約定債権」かつ「金銭債権」のみ
ファクタリングは、「債権を買い取って現金化する」サービスです。
つまり、買い取るには金銭を受け取る権利である「金銭債権」でなくてはいけません。
加えて、売掛先から回収が見込めることも必須。つまり「契約」した相手が必要となります。
そうなると、ファクタリングに利用できるのは「約定債権」かつ「金銭債権」のみということになります。
では、ファクタリングで不渡りリスクのある金銭債権は回収できるのでしょうか?
金銭債権を確実に回収するにはどうすればいい?
ファクタリングは、「確実な債権回収」という側面もウリにしたサービスであるものの、買い取ってくれるのは売掛債権だけです。
しかも、たとえば支払い遅延を起こしている場合や、相手に支払いの意志がない場合などは、ファクタリングによる回収は効果的ではありません。
ファクタリングは「買い取りによる手数料」で収益を得るわけですから、債権が回収できなければビジネスが成り立たないためです。
ですから、ファクタリングで不渡りになりそう、および不良債権を回収するのは不可能です。
ただし、金融機関が主に提供している「保証ファクタリング」であれば、事故が起きる前に予防が可能です。
保証ファクタリングで不渡りリスクを回避
保証ファクタリングとは、取引先の「信用調査」と、「不渡り時に一定額の補償」を提供するサービスです。債権にかける保険と考えて良いでしょう。ただし、こちらも売掛債権のみの対応となります。
もし、不渡りになりそうな債権や、心配な取引先があるのであれば、保証ファクタリングを検討してみるのも良いでしょう。
保証ファクタリングについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
「債権回収代行サービス」がおすすめ
もし、手持ちの金銭債権を回収したいのであれば、弁護士に相談するのがもっとも効率的でしょう。費用はかかりますが、その分時間を取られずに済みます。
以下の対応で、迅速に債権回収を請け負ってくれます
- 手続きをすべて任せられる
- 弁護士による無料相談を受け付けてくれる
- 最短即日相談可能で、土日祝日・時間外も要望があれば対応
これなら金銭債権以外も回収できる
なお、料金は債権の金額によって異なり、
- 500万円以下は「着手金10万円」と、報酬「回収額の10%」が必要
- 500万~3,000万以下の部分は「請求額の2%」と「回収額の8%」が必要
となります。
戻ってこなければ債権額の100%を失うことに比べると、依頼してみる価値はあるのではないでしょうか。
債権回収に困った時は、保証ファクタリングや債権回収代行サービスを考えてみてください。
「債権」と「債券」の違い。債権は権利で債券は有価証券
時々、ファクタリングについて「債券」で検索される人がいるので、おまけとして債権と「債券」の違いについても説明しておきましょう。
債権は、これまで説明してきたとおり「権利」のひとつです。一方で、債券というのは有価証券、つまり「借金をした証明書」となります。
債権は、金銭債権に限って言えば「借金をした証明になる」という点では債券と同じなのですが、大きな違いは「銀行が貸した」「口約束で貸した」「サービス提供の対価を貰っていない」などより大きな範囲でくくられている点。
つまり、債権は「債務を支払ってもらう」行為全般を指すのです。
一方で「債券」とは、債権が発生している中で「証明」のひとつとして発行して貰うものに過ぎないというわけです。
ちなみに、国債や社債といった債券を取り扱い、投資の対象とするのが「証券会社」となります。
まとめ
債券は「給付を受ける権利」で、ファクタリングが可能なのはこのうち「売掛債権」と呼ばれる金銭債権にあたります。
債権を確実に回収するには、ファクタリングのほかに保証ファクタリング、債権回収代行などがあります。もっとも確実なのは弁護士による債権回収代行でしょう。
債権の種類は、ここでは紹介しきれていませんが「給付の内容」によって名称がさまざまです。違いを把握し、万が一の時に上手く対処できるようにしておくと良いでしょう。
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