保証ファクタリングの解説

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数多くあるファクタリングの中でも、少々変わった目的を持つのが「保証ファクタリング」です。

売掛債権の早期現金化を目的とする「一括ファクタリング」と違い、「保証ファクタリング」は、いわば債権にかける保険のようなものであるためです。

本記事では、この「保証ファクタリング」がどのようなものなのか、どういうタイミングで利用すべきサービスなのかを解説。
デメリット・メリットを含め、保証ファクタリングを利用する際の参考にしていただければ幸いです。

貸し倒れを予防する「保証ファクタリング」

保証ファクタリングについての会議をする様子

保証ファクタリングは、「債権が不渡りを起こした時、ファクタリング会社が代わりに売掛金を支払ってくれる」サービスのことです。

言い換えれば、債権にかける保険と考えてよいでしょう。主に大手金融機関で提供されており、「売掛債権の支払い保証」という名称で取り扱っているところも多いです。

ファクタリングといえば、債権をファクタリング会社に売却し、現金化する「一括ファクタリング」がポピュラーですが、保証ファクタリングはこのサービスとは似て非なる物です。

なぜなら、利用者の目的がそもそも異なっているためです。

  • 一括ファクタリング:債権を早期に現金化するのが目的
  • 保証ファクタリング:債権を確実に回収するのが目的

一括ファクタリングが資金調達を目的とするのに対し、保証ファクタリングは資金を失うのを防ぐことを目的としています。

保険も、言うなれば「なくなるはずだった資金を調達」する行為と考えられますが、とにかく保証ファクタリングとはそういうものです。

売掛金の額が大きい建築業界などで良く利用される

一般的に、中小企業における「売掛金の未回収率」は、5%~10%と言われています。

一見低いように見えますが、1度でも売掛金を取りっぱぐれると死活問題になる企業からすれば、「10~20回に1回は回収できない可能性がある」というのは決して無視できません。

特に、支払期間が長く債権の額も大きい建築業界などは、一度の不渡りが死を招く可能性もあります。

ところで、「連鎖倒産」という言葉をご存じでしょうか。知っている方も多いと思いますが、依頼企業が倒産し、売掛金が支払われなくなった余波が下請け建設企業に及び、立て続けに倒産していく現象のことです。

特に、建築業界はそういうケースが珍しくない業界です。

したがって、不渡りリスクは極力回避しなくてはなりません。一般的なリスクヘッジとして、以下のような対策が主に取られています。

  • 新しい取引先の与信審査
  • 既存取引先の与信管理・契約管理
  • 確実に売掛金を回収する

上記がすべてうまくできていれば問題は無いのですが、実際には経理担当が与信審査に不慣れだったり、取引先に契約変更を申し出にくかったり、上手くいくケースというのは決して多くありません。

そこで活用したいのが、「保証ファクタリング」です。

保証ファクタリングが持つ、4つのメリット

保証ファクタリング4つのメリット

保証ファクタリングは、先ほど述べたような「与信管理」や「売掛金の回収」を一手に引き受けられます。このサービスが持つメリットは以下の通り。

  • 売掛先には知られずに保証をかけられる
  • 低コストで与信管理ができる
  • 下請建設企業は国からの助成金で手数料が安くなる(年率5%が上限)
  • 万が一、不渡りが起こった時のリスクヘッジ

それでは、詳しく解説していきましょう。

売掛先には知られずに保証をかけられる

基本的に、売掛先に知られることなく与信審査から管理までを行えます。

保証をかける旨を売掛先に伝えるメリットは基本的にありませんから、自社とファクタリング会社のみでやり取りが簡潔するのは良い点です。

低コストで与信管理ができる

体制が整っていない限り、与信の管理を自社でまかなうのはコストが大きくなります。

保証ファクタリングは、売掛金の保証だけでなく、売掛先の与信審査情報の提供や、管理まで行ってくれますから、実質与信管理の外注化が可能です。

なお、保証は新規の取引先に対してだけではなく、既存の取引先も一度に与信管理を受けてくれるので、一度相談してみるとよいでしょう。

業務に集中するために、保証ファクタリングを利用するという選択肢も有力でしょう。

下請建設企業は国からの助成金で手数料が安くなる(年率1.5%が上限)

下請建設企業が保証ファクタリングを利用する場合、年率1.5%まで国からの助成金が出る制度が存在します。

これは、先ほど述べた「連鎖倒産」を防ぐために決められたもので、中小企業ほど保証ファクタリングのコストパフォーマンスはよくなるということになります。

利用するメリットも大きいので、利用するべきでしょう。

万が一、不渡りが起こった時のリスクヘッジ

前述のとおり、リスクヘッジとしては大変有力な手段です。保証ファクタリングを提供するのは、主に大手金融機関であるため、安心して委託できるのも特徴といえます。

このように、「債権に保険をかけておきたい」「売掛先の与信管理を外注したい」というニーズに確実に答えてくれるメリットを持つのが、保証ファクタリングです。

ただし、以下のようなデメリットも抱えているので、こちらも把握してから利用を検討するようにしましょう。

保証ファクタリングのデメリット

保証ファクタリングのデメリットとは?

保証ファクタリングのデメリットは、以下の通りです。

  • 債権の与信が低いと100%保証してもらえない
  • ファクタリング会社の選択肢が少ない

それでは、詳しくチェックしていきましょう。

債権の与信が低いと100%保証してもらえない

保証ファクタリングは、与信によって「保証限度額」が定められる場合がほとんどです。100%保証される会社は少ないと考えた方が良いでしょう。

ファクタリング会社の選択肢が少ない

保証ファクタリングを提供する会社は、大手金融機関が中心です。あまり大きな問題ではありませんが、比較会社が少なく、よりニーズに合わせた会社を選びにくいというのはデメリットでしょう。

上記2つに関しては、ファクタリング利用の際に気をつけるべきといえます。

なお、「倒産しなければ保証料の返還はない」という点もデメリットとして挙げられることがありますが、これについては「保険」を買うのに必要なコストと考えられます。

それでは、続いて保険の適用条件と具体的な仕組みを解説していきます。

ファクタリング保証の適用条件

保証ファクタリングの適用条件を確認する様子

保証が適用される条件は、以下の通り。

  • 破産手続開始、会社更生手続開始、特別清算開始、民事再生手続開始の申立またはその他法的倒産手続の申立
  • 手形交換所の取引停止処分
  • 手形または小切手の不渡り
  • 任意整理着手の公表
  • 営業の全部の廃止、本店事務所の閉鎖
引用元:http://www.idemitsucard.com/corporate/factoring.html

上記は一例になりますが、おおむねどこの会社もタイミングは「不渡りになった時」で一致しています。

では、依頼から保証されるまでの流れを見ていきましょう。

保証ファクタリングの仕組み

保証ファクタリングの仕組み

ここでは、依頼者目線で仕組みを解説しています。契約を結び、債権が発生したタイミングから保証ファクタリングを使うとして、具体的に以下のような流れで進行していきます。

  1. 債権が発生する
  2. 保証会社に保証依頼し、保証希望先リストを提出
  3. 保証会社が、売掛先の信用調査を行う
  4. 保証会社から、債権の保証&与信管理情報が提出される
  5. 債権が不渡りになった場合、保証会社に保証履行の申請をする
  6. 保証会社から保証対象額が支払われる

上記のように、売掛先には知られませんし、手続きも難しい物ではありませんので、ハードルを高く見積もる必要はありません。

仕組み・メリットを把握し、保証ファクタリングを経営に活かしていきましょう。