ファクタリングを上手に利用すると節税効果を得ることが可能です。
本記事ではファクタリングが節税になる理由やファクタリングの仕訳方法を元に詳しく解説していきます。
ファクタリングの隠れたメリットについて知りたいという方は、是非ともご参考にしてみて下さい。
目次
ファクタリングには手数料(損金)がかかる
ファクタリングとは、未回収の売掛金を売却し、早期現金化することで資金調達をすることです。
「借りない資金調達法」として注目を集めていますが、ファクタリング利用時には売掛金全額が入金されるわけではありません。
ファクタリング業者に売掛金を売却する際に、買取手数料がかかります。
つまり売掛金は売上ですが、手数料分に関しては、売上ではありません。
そのため、ファクタリング手数料に関しては、「割引料」の勘定項目で処理をする必要があります。
割引料は、本来ですと手形割引を処理するための勘定項目ですが、ファクタリング手数料に関しても「割引料」に含めて構いません。
勘のいい方はすでにお気付きの通り、割引料は売上ではないため、経費として計上することが可能です。
したがってファクタリングを利用すると、売上を減らすことができ、節税対策をすることができます。
【関連記事】ファクタリング手数料の相場と内訳を分かりやすく解説
貸倒引当金とファクタリングの違い
貸倒引当金とは、売掛金などが貸倒となり回収できない事態に備えて、予め用意しておくお金のことです。
「引き当て」とは、将来の支出のために準備しておくという意味です。
企業会計の原則で、費用と収益は必ず対応させなければいけないという決まりがあります。(費用収益対応の原則)
貸倒引当金を積み立てておくことによって、期間損益を正確に計上することができるのです。
支払割引料と同様に、貸倒引当金(損金)を作っておくことは、万が一の備えとともに節税にもなります。
ですが、貸倒引当金に関しては、売掛金部分は損金に計上することはできません。
また、当初は50万円と予測していた貸倒引当金が、実際には100万円にも200万円にも膨らんでしまう可能性もあります。
最悪の場合は、売掛金のほとんどを回収できなかったというケースも考えられ、その場合には資金繰りが大幅に悪化してしまいます。
一方で、ファクタリングを利用すれば貸倒リスクがありません。
売掛金を売却してしまっているので、売掛金回収義務は発生しておらず、また「ノンリコース(償還請求権がない)ため、取引先が貸倒になってしまっても、ファクタリング業者に支払いをする必要もないのです。
ファクタリングの仕訳方法を説明
続いて、ファクタリングを利用して資金調達した場合の会計仕分けについて見ていきましょう。
ファクタリングを利用した場合の仕訳
売上(30万円)を計上する場合の、会計仕訳は以下の通りです。
(借方) | (貸方) |
売掛金 | 売上 |
300,000 | 300,000 |
これが、手数料5%で、ファクタリングを利用した場合には、以下のような仕訳になります。
(借方) | (貸方) |
現金 | 売掛金 |
285,000 | 300,000 |
支払割引料 | 15,000 |
表をご覧の通り、ファクタリングを利用すれば売掛金と現金の差額を、支払割引料として計上することができます。
支払割引料分は、会社の利益ではありませんので、法人税の徴収分を低くすることが可能です。
資本規模が1億円以下で、所得金額が800万円超である場合の法人税は、23.2%です。
したがって、ファクタリングを利用し年度内に支払割引料が100万円だったすると、「100万円×23.2%」で、23万2000円の節税となります。
ファクタリングを利用しなかった場合の仕訳
比較対象として、ファクタリングを利用しない場合の会計仕訳についても見てみましょう。
30万円の売上を計上する会計仕訳は、以下の通りです。
借方 | 貸方 |
売掛金 | 売上 |
300,000 | 300,000 |
上記の売掛金に、貸倒引当金を計上する場合の会計仕訳は、以下の通りです。
借方 | 貸方 |
貸倒引当金繰入 | 貸倒引当金 |
1,000 | 1,000 |
ファクタリングを利用しない場合には、貸倒引当金繰入の費用が計上されます。
ファクタリングは節税以外にもメリットがある!
ファクタリングには、節税以外にも、隠れたメリットが多数あります。
具体的には、以下の通りです。
- 貸借対照表のオフバランス化
- 債権回収リスクが低くなる
順に詳しく解説していきましょう。
①貸借対照表のオフバランス化
前述の通り、ファクタリングを利用することによって、売掛金が貸借対照表から減少します。
代わりに現金が増えるため、財務バランスがよくなります。
売掛金は資産ですが、売掛金のようにリスクがある資産を除外することを「オフバランス化」と呼びます。
売掛金が多い貸借対照表は、不良債権が交じっている可能性が高く、実際の資産を測ることができません。
そのため銀行などの金融機関からすると、融資を行うことに消極的になってしまうのです。
加えて、現金が少ないと融資額が回収不能になってしまうリスクも考えられます。
このような理由で、銀行から融資を断られてしまったという場合には、ファクタリングを利用して、売掛金を減らし、キャッシュを増やすことをお勧めします。
②債権回収のリスクが低くなる
記事の文中でも軽く触れましたが、ファクタリング業者の中には、「ノンリコース 」でファクタリング契約を行ってくれる業者も存在します。
ノンリコースとは、償還請求権がないという意味です。
具体的には、ファクタリング実行後に売掛先が倒産などで債権が回収できなくなったとしても、ファクタリング利用企業に支払い義務がないということです。
したがって、ファクタリングを利用し債権譲渡をすることで、債権の回収リスクを低くすることができます。
債権の払いが悪い企業から債権回収をするのは、とても困難なことです。
手間がかかるのはもちろん、心身ともにそれなりのダメージを負うこともあります。
債権回収代行会社も存在しますが、コストがかかり、取引先との関係が悪化することを考えると、あまり利用はしたくないものです。
そのような場合でも、ファクタリングを利用すれば、債権回収リスクと手間を無くすことができます。
ただ、ファクタリング利用時には売掛先の審査があり、あまりにも不良債権であると判断された場合にはファクタリング契約を断られたり、ファクタリング手数料が高くなることも考えられます。
また、ファクタリング業の債権回収リスクを低くするために3社間ファクタリングとなる場合もあり、その場合には売掛先からの同意が必要となります。
回収できるか分からない売掛債権に対して、保険をかける「保証ファクタリング」というサービスもありますので、そちらも併せて参考にしてみてください。
【関連記事】売掛債権に保険を掛ける保証型ファクタリングとは?買取型との違いも解説!
まとめ
ファクタリングを利用した際には、手数料を割引料として計上することで、節税をすることができます。
貸倒引当金よりも手数料の方が高いことが多い為、ファクタリングを利用した場合には仕訳方法に注意してください。
ファクタリングを利用すると、節税になるというのは隠れたメリットであり、あまり知られてはいないことです。
加えてファクタリングを利用すると、貸借対照表のオフバランス化が可能となったり、債権回収リスクが低くなるといった副次的メリットも生まれます。
単に資金調達をするという目的意識だけでは、このようなファクタリングの隠れたメリットについて理解することはできません。
確かに手数料はかかってしまいますが、総合的にファクタリングのメリットを鑑みるとファクタリングの手数料もいくらか低く思えるでしょう。
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