売掛金を早期に現金化することができ、主に中小企業の経営者の方に活用されているファクタリングですが、実はファクタリングは大きく分けて2つに分類することができます。
それは買取型ファクタリングともう1つ、保証型ファクタリングの2つです。
買取型ファクタリングと保証型ファクタリングは全くの別物で、混同してしまうと損をしてしまったり、適切な方を選択できない可能性があるので、注意が必要です。
今回は、保証型ファクタリングとは何か、買取型ファクタリングとの違いや、保証型ファクタリングがオススメな経営者の方などをご紹介して参ります。
保証型ファクタリングとは?
保証型ファクタリングとは、未払いの売掛け債権に対してファクタリング会社を使って保険をかけるというものです。
具体的には、信用力が低い取引先や倒産の危機がある取引先からの売掛け債権に対して用い、貸し倒れにより売掛け債権が回収できなかった場合でも、保険によって債権を回収することができます。
つまり保証型ファクタリングは、資金の調達が目的ではなく、取引先の倒産や経営破綻により債権が回収できないリスクに備える保険とも言うことができます。
経営者はファクタリング会社に売掛金の2〜8%を手数料として支払い、保証型ファクタリングを利用します。
もしも売掛金が入金されないという事態になっても、ファクタリング会社から売掛け債権の100%(実際には手数料を支払っているため90%〜)が支払われます。
保証型ファクタリングで保証金が支払われる条件
保証型ファクタリングを利用する際、保証金(売掛金)が支払われるにはいくつか条件があります。
この条件は利用するファクタリング会社によって異なりますので、事前に確認が必要です。
以下で、よくある条件を挙げておきます。
- 売掛先が倒産した、倒産手続を開始した
- 売掛先が破産手続き・会社更生手続き・民事再生手続き・特別清算などを行った
- 売掛先が手形交換所より取引停止処分を受けた
- 売掛先が任意整理を行った
- 手形または小切手の不渡りがあった
- 営業停止や事務所or店舗を閉店した
条件はファクタリング会社によって異なりますが、簡単に言ってしまえば売掛先の経営破綻をもって、保証金がファクタリング会社から支払われることになります。
保証型ファクタリングの利用方法
次に簡単にですが、保証型ファクタリング利用時のフローを挙げてみます。
- ファクタリング会社と売掛金保証取引の契約を締結
- 保証対象となる売掛先を制定
- 保証会社による売掛先、売掛債権の審査
- 手数料の支払い(売掛債権の2〜8%が相場)
- 売掛先が経営破綻に陥ると、ファクタリング会社から保証金の入金
保証型ファクタリングと買取型ファクタリングの違い
買取型ファクタリングとは2社間ファクタリングや3社間ファクタリングに代表されるように、「ファクタリング会社が売掛債権を買い取る」ファクタリングのことです。
買取型ファクタリングでは債権は納入企業からファクタリング会社へと移行され、早期に売掛債権を現金化することができます。
一方の保証型ファクタリングでは、売掛債権は移行されることなく、売掛先が経営破綻に陥らない限りファクタリング会社からの入金はありません。
また買取型ファクタリングでは手数料の支払いが債権の入金後であるのに対して保証型ファクタリングでは前払いであるという違いもあります。
手数料に関しては買取型ファクタリングの
2社間ファクタリング:10~15%
3社間ファクタリング:5~8%
となっており、保証型ファクタリングは2〜8%が相場です。
保証型ファクタリングのメリット
保証型ファクタリングには
- 取引先が倒産した場合でも売掛債権を回収することができる
- 与信管理を外注(アウトソーシング)することができる
- 取引先に知られることがない
- 業種によっては国からの助成金を受け取ることができる
といったメリットがあります。以下で詳しく解説していきます。
取引先が倒産しても売掛債権を回収することができる
保証型ファクタリングを利用して、売掛債権に保険をかけておけば、万が一取引先が倒産や経営破綻をして支払いがされなくなったとしても、売掛債権を回収することができます。
そのため、実績がない企業や信用力が低い企業とでも、安心して取引をすることが可能となります。
与信管理を外注(アウトソーシング)できる
企業間で新規取引の契約を結ぶ際には通常、与信審査が必須です。
与信審査とは、取引先の年商や実績などから返済能力や信用度を審査することを言います。
返済能力を超えた契約を結んでしまうと、貸し倒れのリスクが高まり、未払いが増えてしまいます。
それが保証型ファクタリングを利用することにより、万が一取引先が債権を支払えなくなっても一定数の債権を回収することができます。
したがって煩雑な与信管理が不要となり、大きな与信枠での取引が可能となります。
これを「与信管理の外注(アウトソーシング)」と言います。
取引先に知られることがない
もしも保証型ファクタリングを利用していることが、取引先に知られてしまうと「取引先を信用していない」ということになってしまいます。
そうなると良好な関係を築くことはできず、契約を打ち切られてしまう可能性もあります。
しかしながら保証型ファクタリングを利用しても、取引先に知られる心配はありません。
ファクタリング会社が取引先の審査を行う時から、実際に入金がされるまで、全てが秘密裏に行われます。
したがって、取引先とは良好な関係を保ったまま保障型ファクタリングを利用することができます。
業種によっては助成金を受け取ることができる
建設業や資材業など売掛金の入金までが長く、連鎖倒産が起きやすい業者は国土交通省が定める下請債権保全支援事業という制度に則って、保障型ファクタリングの利用の際に助成金を受け取ることができます。
具体的には、保障料の最大で半分が助成金として支払われます。
sこのことから、保障型ファクタリングは国が支援をするほど中小企業の経営者にとっては重要なサービスであると言えます。
保障型ファクタリングのデメリット
保障型ファクタリングには少なからずデメリットも存在します。
具体的には
- すぐに資金調達ができるわけではない
- ファクタリング会社に利用を断られる可能性がある
- 手数料がかかる
といったことが挙げられます。以下で詳しく解説して参ります。
すぐに資金調達ができるわけではない
2社間・3社間ファクタリングとは言った買取型ファクタリングとは異なり、保証型ファクタリングは売掛債権に保険をかけるものであって、売掛債権の早期現金化ができるわけではありません。
保障型ファクタリングで現金が入金されるのは、取引先が倒産や支払い遅延をした場合のみであるため、早急に現金が必要という経営者の方にとっては保障型ファクタリングは有用ではないでしょう。
審査次第でファクタリング会社に契約を断られる可能性がある
保障型ファクタリングでは、ファクタリング会社が売掛債権と取引先に対して審査を行います。
高齢者の方が保険に加入するのが難しいのと同様に、取引先の信用力が低かったり倒産寸前であったりすると、ファクタリング会社に契約を断られてしまう可能性があります。
納入企業としては、支払われるかどうか怪しい売掛債権に保険をかけたいところですが、そう上手くはいきません。
手数料がかかる
保障型ファクタリングを利用するには、ファクタリング会社に手数料を支払う必要があります。
手数料は売掛先の信用力によって左右されますが、2〜8%が相場といったところです。
大抵のファクタリング会社は保証金を売掛債権の100%に定めていますが、実際は手数料の分があるため90%程度となります。
もしも売掛先が倒産や経営破綻をしないと、支払った手数料は無駄となる恐れがあることも、留意しなければいけません。
また自社で与信管理をきちんとできている場合ですと、保障型ファクタリングを利用するのは完全なデメリットと言えるでしょう。
まとめ・保障型ファクタリングがオススメな会社
まとめると保障型ファクタリングとは、売掛債権に保険をかけ、万が一支払いが行われなかった場合でも債権を現金化することができるサービスであり、売掛債権を早期に現金化できる買取型ファクタリングとは別物ということになります。
保障型ファクタリングの利用がオススメな企業は
- 取引先が多く、与信管理ができていない
- 長期スパンで大きな額の売掛債権がある
- 貸し倒れリスクが高い取引先がある
といった企業です。
反対に、
- 自社で与信管理ができている
- 取引先や売掛債権が少ない
- 早期に売掛債権を現金化したい
といった企業は買取型ファクタリングを利用したほうがいいでしょう。
個人でもご利用することができる現金調達サービスをご紹介いたします。