計算方式を解く

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企業間の支払いに注目を集めている一括決済方式を分かりやすく解説して参ります。

一括決済方式の中でもファクタリングは新たな資金調達方法という利点もあります。

利用の際には、それぞれの方法を比較・検討してから利用するようにしましょう。

一括決済方式(システム)とは?

契約書とペンキ

一括決済方式(システム)とは、支払い企業と納入企業間の資金決済時に、金融会社などのファクターを介して決済するという方法のことです。

従来の支払い企業-納入企業間の取引支払いでは、支払いが1~6ヵ月先であり、納入企業が資金不足に陥りやすいという欠点がありました。

そこで一括決済方式では、支払い企業が金融会社に代金を支払うという契約を交わします。

支払い企業は決済期日に金融会社に代金を支払います。

一方の納入企業は、必要な時に金融会社から売掛金を入金してもらうことができます。

つまり資金決済時に金融会社を挟むことによって、納入企業は決済日を待たずに売掛金を手にすることができるのです。

一括決済方式では、仲介となる金融会社がどのように債権に関わるかによって、名称が異なります。

具体的には一括決済方式では、「ファクタリング方式」、「併存的債務引受方式」、「一括信託方式」、「債権譲渡担保方式」の4種類があります。

一つずつ解説していきましょう。

①債権譲渡担保方式を解説

債権譲渡担保方式とは、支払い企業が売掛金を支払うことができずに、また弁済をしなかった場合に備えて、債権に担保をかける方法のことです。

具体的には、支払いに不安がある売掛金を担保するために支払い企業が持っている別の売掛金を譲り受け、売掛金が支払われなかった時に担保とした売掛金を回収することができます。

より簡単に言ってしまえば、売掛先が保有している債権を自社の担保にしてしまうことです。

担保となる債権は売掛金だけではなく、取引先の敷金返還請求権や貸金返還請求権、報酬債権、預金債権なども担保対象となります。

【関連記事】ファクタリングと売掛債権担保融資(ABL)の違いを解説

②併存的債務引受方式を解説

併存的債務引受方式では、納入企業が支払い会社に対して保有している売掛債権を金融会社や信託会社が買い取ります(もしくは債務を引き受ける)。

そして金融会社が決済期日に納入企業に支払いを行うという、決済方法です。

納入企業は、決済期日前に現金化をすることもできます。

一見すると手形割引と同じ決済方法に思われますが、併存的債務引受方式の場合は領収書の印紙税が不要です。

また電子決済サービスになるため、手続きや業務が効率化され、手形紛失のリスクもありません。

手形割引との最大の違いとしては、一部だけの現金化も可能という点が挙げられます。

【関連記事】手形割引からファクタリングに切り替えるべき5つの理由

③一括信託方式を解説

一括信託方式は、併存的債務引受方式の別名です。

取り扱う金融機関、信託会社によって内容に差がありますが、基本的な仕組みは併存的債務引受方式と変わりません。

④ファクタリング方式

ファクタリング方式とは、納入企業が未払いの売掛金をファクタリング会社に売却することで、資金調達をするという方法です。

ファクタリング方式とこれまでの3種類の方法が大きく異なるのは、ファクタリングはファクタリング会社と納入企業の2社間だけで取引ができるという点にあります。

2社間取引では、売掛先(支払い先)に債権譲渡承諾を得る必要がなく、よりスピーディーな契約が可能です。

また上記の3種類の方法は、売掛金が支払われないという不測の事態に備える決済方式でしたが、ファクタリングは資金調達自体を目的として行われることが多くなります。

ファクタリング方式は一括決済方式の中でも少し毛色が異なりますので、注意してください。

【関連記事】ニーズが高まる「2社間ファクタリング」とは?

一括決済方式のメリットを解説

鍵を手渡す

企業間の決済取引に、一括決済方式を導入するメリットは、以下の通りです。

  • 手形を廃止することができる
    →手形発行コスト(印紙税・管理コスト・人件費)を削減できる
  • 手形管理事務の省略化が可能、手形紛失リスクもなくなる
  • 売掛金を確実に回収することができる
  • 決済期日前に、売掛金を手にすることができる

一括決済方式は昔からの商慣行だった「約束手形(支払手形)」という古い決済取引方法を代替し、より確実に売掛金が支払われることを重視した決済方式です。

そのため手形取引に比べると、コストやリスク面において遥かに優れています。

また、決済時期や金融機関との契約内容によっては、手形割引料よりも低いことがほとんどです。

ファクタリング方式のメリット

3種類の一括決済方式と少し性質が異なるファクタリング方式について、個別にメリットを見ていきましょう。

ファクタリング方式のメリットは以下の通りです。

①短期間での資金調達が可能

2社間取引では、取引先からの債権譲渡通知などを得る必要がありません。

そのため最短即日での売掛金の現金化が可能です。

②審査が緩い

ファクタリングは金融機関からの融資ではありません。

したがって申し込み時には厳しい審査が不要です。

なおかつ、主に審査対象となるのは売掛先の信用情報となります。

そのため赤字決算、債務超過といった場合でも、利用することができます。

③償還請求権がない

一括信託方式や併存的債務引受方式では、売掛先の倒産によって不良債権化した場合に、支払いを負担する必要があります。

これを償還請求権と言います。

一方でファクタリングは償還請求権がありません(ノンリコース )。

④信用情報に記録されない

ファクタリングは借入ではないため、利用しても信用情報に記録されることがありません。

そのため他ローンの検討中であったとしても、影響を及ぼすことが無く、金融機関から信用を失うというリスクが無いのです。

公正取引委員会の一括決済方式利用時における注意点

暗い契約書

多くのメリットがある一括決済方式ですが、利用時には公正取引委員会からの注意点も存在します。

1 一括決済方式により下請代金を支払う場合の下請法第2条の2(下請代金の支払期日)等に規定する下請代金の「支払期日」は,下請事業者が金融機関から下請代金の額に相当する金銭の貸付け又は支払を受けることができることとする期間の始期とする。したがつて,この期間の始期は,親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して,60日の期間内において,かつ,できる限り短い期間内において,定められなければならないこととなる。

2 一括決済方式により下請代金を支払う場合に,下請事業者が金融機関から当該下請代金の額に相当する金銭の全額について貸付け又は支払を受けることができないときは,下請法第4条第1項第2号(下請代金の支払遅延の禁止)の規定に違反するものとして扱う。

3 一括決済方式により下請代金を支払うこととする場合に,不当に,下請事業者に対し,一括決済方式による下請代金の支払に応じることを強制し,又は一括決済方式による下請代金の支払に応じないことを理由として取引の条件又は実施について不利な取扱いをするときは,独占禁止法第19条(不公正な取引方法の禁止)の規定に違反するおそれがあるものとして扱う。

公正取引委員会「一括決済方式が下請代金の支払手段として用いられる場合の下請代金支払い遅延等防止法及び独占禁止法の運用について」

注意事項として挙げられていることを要約すると、「下請け代金支払い遅延防止法」と「独占禁止法」に抵触しないように、一括決済方式を用いるということです。

一括決済方式利用時には、納入企業が金融機関から支払いを受けることができる期間は納入日から60日以内でなければいけません。

また取引先に対して、一括決済方式での支払いを強制することは「独占禁止法第19条」の不公正な取引方法の禁止に違反するので、注意してください。

まとめ

メガネとパソコン

手形取引に取って代わり、確実に売掛金を手にできる一括決済方式はすでに導入企業が増えつつあります。

ただ一括決済方式は複数の種類があり、どの方法を利用するかはそれぞれの特徴・メリット・デメリットを理解してから比較・検証しなければいけません。

また一括決済方式の中でもファクタリングは資金調達がメインの方法となります。

銀行融資を断られたなどという場合には、ファクタリングの利用を推奨します。