ファクタリングが有利になる売掛債権と利用できない債権を解説

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ファクタリングを実行する際、どの債権でも現金化できるわけではありません。

債権によっては手数料が安くなる場合もあれば、その逆もまた然りですし、断られる債権も存在します。

特に、急ぎのファクタリングで、持ち込んだ債権がファクタリングできなければ問題ですから、予めきちんと審査に通るような債権を選んでおくべきでしょう。

本記事では、ファクタリングにおいて「審査で有利になる債権」「利用できない債権」などを解説していきます。

ファクタリングで有利な条件になる売掛債権とは?

ファクタリングで有利な条件になる売掛債権とは?

まず、ファクタリングで「有利になる債権」とは、すなわち手数料が低くなりやすい債権ということです。

ファクタリングでは、主に売掛先の与信が重要視され、与信が低いとファクタリング業者は不渡りによるリスクを考慮しなくてはなりません。

基本的に、ファクタリングでは売掛先が倒産しても依頼者に返済義務は生じませんから、債権が不渡りになった場合はその損失をまるまる被らなくてはならないのです。

ですから、ある意味ファクタリングとはリスクと隣り合わせの商売といえ、損失が出ても問題ない手数料設定をせざるを得ないというメカニズムです。

では、ファクタリングではどんな債権が審査で有利になる=与信が高くなるのかを説明していきましょう。

審査で有利になる条件はいくつかあり、業者によって評価軸も変動しますので一概には言えませんが、概ね以下の条件を満たす債権は好印象を持たれやすいです。

  • 国や自治体が発行する売掛債権
  • クレジットカード債権
  • すでに安定した入金実績のある債権

それでは、具体的に解説していきましょう。

国や自治体が発行する売掛債権

国や自治体が売掛先となった債権は、数ある債権の中でもっとも安定した回収が見込めるものと言えましょう。

医療債権をはじめ、全体的に審査に通りやすく、手数料も下がるケースが少なくありません。

ただし、2社間ファクタリングの場合は、依頼者による売掛金の横領や二十譲渡などのリスクも考慮したうえで手数料が設定されます。

ですから、「国や自治体の債権は100%手数料が安くなる」かと聞かれればノーであるということには気をつけましょう。

また、事業によっては反社会勢力への譲渡を防ぐ目的で譲渡禁止になっているケースもあります。

2017年の民法改正により、譲渡禁止特約が付いていてもファクタリングができるようにはなりましたが、契約違反であることに変わりはないので自己責任でファクタリングする必要があります。

クレジットカード債権

小売店で契約しているクレジットカード会社が絡む債権も、一般的には与信が上がる傾向にあります。

なぜなら、これは債権の売掛先が実質的に信販会社、あるいは金融機関となるためで、基本的に貸し倒れリスクは低いとみなされるためです。

なお、このファクタリングは、ファクタリング手数料とクレジットカード会社に支払う手数料が2重にかかるので、入金される現金がいくらになるかは要計算です。

すでに安定した入金実績のある債権

ファクタリングの利用実績が多い人材派遣業などは、安定した入金実績のある債権を多く抱えていると思います。

債権の入金実績というのは、債権の所在を証明するだけでなく売掛金が滞りなく振り込まれていることを証明するのにも有効なのです。

ですから、入金実績が積まれている債権はファクタリング業者にとっては買い取りやすい債権といえます。

さて、上記の3つが概ね「審査に通りやすい、あるいは有利になる」債権の例です。

こういう売掛金を買い取ってくれることを把握しておけば、ファクタリングに向いた債権がなんなのか判断しやすいかと思います。

それでは、続いて「ファクタリングに利用できない債権」を解説していきましょう。

ファクタリングに利用できない債権

ファクタリングに利用できない7つの債権

ファクタリングに利用できない債権は、概ね以下の7種類です。

  • 譲渡禁止特約付の債権
  • 個人事業主が売掛先の債権
  • 売掛先の経営状況が明らかに芳しくない債権
  • サービスを提供する前の債権
  • でんさい(電子記録債権)に登録している債権
  • 記載している契約条件が異なる債権
  • 金額が未確定の債権

それでは、簡単に解説していきましょう。

譲渡禁止特約付の債権

「譲渡禁止特約」は、債権法により以前では債権の譲渡が明らかになった場合「譲渡自体が無効」になっていました。

ところが、2017年の民法改正以降、譲渡禁止特約付きの債権であっても譲渡ができるようになりました。

譲渡禁止特約を結んでいても、ファクタリングは可能ですし、事実上契約違反ではないのです。

ではなぜまだ残っているのかというと、譲渡禁止特約には「第三者に二重譲渡された際の対抗要件」としての機能がまだ必要とされているためです。

譲渡禁止を明言しておけば、債権の譲渡による混乱を防ぐことができるためですね。

と、ここまでは民法上の譲渡禁止特約の扱いについて述べましたが、結論から言うと「しないに越したことはありません」。

譲渡が無効にならなくても、債権の譲渡によって契約打ち切りとなる可能性も充分あるためです。

特に大企業では、債権の譲渡をすべての下請け企業に認めていると、支払いミスや債務管理の手間が発生してしまうため、基本的に債権譲渡を是としていません。

ですから、譲渡禁止特約を結んだ債権は、原則として2社間ファクタリングを行うのがベター。

加えて、発覚→取引停止になったとしてもそれは自己責任となってしまいます。

くれぐれも気をつけましょう。

個人事業主が売掛先の債権

与信の問題から、個人が債務者となった債権はファクタリングに応じてくれる業者がほぼ無いといって良いでしょう。

3社間ファクタリングであっても、原則として個人の債務者は取り扱っていないことが多く、こればかりは諦めるほかありません。

なお、逆に個人事業主が依頼者の場合、個人事業主を受け付けてくれる業者もいくつかありますので、探してみると良いでしょう。

売掛先の経営状況が明らかに芳しくない債権

こちらも、貸し倒れリスクを鑑みて審査に落ちる可能性が高いです。

売掛先の経営状況は、なかなかこちらでは確認しづらいものですが、明らかに状況がよくない取引先の債権は、持ち込む前に考えましょう。

サービスを提供する前の債権

契約を結び、売掛金が発生していたとしても、もしサービス提供前の場合や、納品がまだだった場合は受け付けて貰えません。

「入金を待つ段階」の債権を持ち込むようにしましょう。

でんさい(電子記録債権)に登録しているもの

「でんさい」を使って債権を発行している場合、通常のファクタリングではなく「でんさいファクタリング」を利用しましょう。

詳しくはでんさいファクタリングとは?仕組みを解説でも解説しています。

記載している契約条件が異なる債権

例えば、契約条件を口頭で変更した場合など、記載してある契約内容と実際の契約内容が違う債権もNG。

あまりに大きく異なると、架空債権とみなされ取引自体が停止するおそれもあります。

契約条件がやむを得ず変更される場合でも、きちんと書面で改めて契約を交わすようにしましょう。

金額が未確定の債権

サービス未提供に加え、金額がまだ未確定のものも債権とはみなされません。

さすがにこれは問題ないかと思いますが、入金を待つ段階の債権を用意しましょう。

ファクタリングと売掛債権についてのまとめ

ァクタリングと売掛債権についてのまとめ

ファクタリングに持ち込むべき債権は、以下の3つのような「業者から見て貸し倒れリスクが低い債権」といえます。

  • 国や自治体が発行する売掛債権
  • クレジットカード債権
  • すでに安定した入金実績のある債権

いわば「売り物として状態が良い債権は高く買い取る」、シンプルな理屈といえますね。

逆に、これらの債権を持ち込もうとしている方は少し考えた方が良いでしょう。

  • 譲渡禁止特約付の債権
  • 個人事業主が売掛先の債権
  • 売掛先の経営状況が明らかに芳しくない債権
  • サービスを提供する前の債権
  • でんさい(電子記録債権)に登録している債権
  • 記載している契約条件が異なる債権
  • 金額が未確定の債権

これらは、リスクを鑑みて手数料が上がる傾向にあり、またものによっては審査に落ちてしまう可能性も高いです。

債権選びには気をつけ、スムーズにファクタリングができるようにしましょう。