ファクタリング契約の際には偽装ファクタリングに注意しなければいけません。
偽装ファクタリングは違法な貸付に該当する可能性があり、利用してしまうと詐欺被害などにもあってしまう危険があります。
本記事では偽装ファクタリングとは何か、注意しなければいけないファクタリング会社の誘い文句などを簡単に解説して参ります。
目次
偽装ファクタリングとは?
偽装ファクタリングとは、その名の通りファクタリング取引を偽装したことです。
より具体的には、ファクタリングを装った違法な貸付のことであり、より狭義的には「償還請求権があるファクタリング契約」のことをさします。
償還請求権があるファクタリング契約は、貸付とみなされるため違法行為です。
過去には償還請求権付きのファクタリング契約を結んだファクタリング会社が利用企業に訴えられ、手数料分を過払金として返還を命じられたという判例もあります。
くれぐれも、ファクタリング契約時には注意が必要です。
償還請求権とは?何が問題なのか?
償還請求権とは、裏書き手形などの債権が元々の債務者から支払われなかった場合に、裏書手形の振出人に代償の返還を請求する権利のことです。
つまり償還請求権があるとファクタリングした売掛債権がもしも不良債権化した場合に、利用企業は債務者に代わって弁済をしなければいけません。
しかしながら実際には、ファクタリングは償還請求権なし(=ノンリコース )の契約が原則であるため、売掛債権が不良化しても、ファクタリング利用企業が償還請求をされることはありません。
その理由は、ファクタリングが貸付ではなく、債権の売買だからです。
償還請求権があると、債権の譲渡ではなく、売掛金を担保とした貸付(=売掛金担保融資)であるとみなされます。
また債権の売買であるからには、債権を購入した側は債権が未回収となる場合のリスクも負うべきであるとの認識が成り立ちます。
これは実際に判例もある事象で、ファクタリング契約において償還請求権を付与するとファクタリング会社は認可のない貸金業者となり、違法となってしまうのです。
過去の判例
実際に償還請求権があるファクタリングが、違法な貸付となり利息制限法が適用された判例を見てみましょう。
平成29年3月3日に下された大阪地地方裁判所平成26年(ワ)第11716号(判例タイムズ1439号179頁・消費者法ニュース111号262頁)は、ファクタリングを利用した企業がファクタリング業者を相手取り、利息制限法を上回る違法な貸付であったとして告訴しました。
そこでの判決では、償還請求権があったことなどが理由で、当該のファクタリング契約が債権譲渡を装った「金銭消費貸借契約」であったと見なされたのです。
そのため被告人であるファクタリング会社は、利息制限法を上回る分の手数料を過払金として返還することを命じられました。
償還請求権があるファクタリング契約は貸付に当たる可能性があるとの判例が、この裁判で出されれることになったのです。
ファクタリング会社のこんな言葉に注意!
償還請求権があるファクタリング契約(=ウィズリコース)は、債権譲渡ではなく売掛債権担保融資と見なされ、違法な取引になってしまいます。
もしも償還請求権付きのファクタリング契約を行ってしまうと、万が一ファクタリングした売掛債権が未回収となった場合に、弁済を行わなければいけません。
またファクタリング会社側も償還請求権があるファクタリング契約は違法になると承知しているはずで、にも関わらず償還請求権付きのファクタリング契約を結ぶということは、悪徳業者である可能性が高くなります。
そのような業者を利用してしまうと、不当に高い手数用を取られるといった被害にあってしまうので、絶対に利用してはいけません。
また悪徳業者は、次のような言葉で償還請求権付きにファクタリング契約を促してきます。
悪徳ファクタリング会社の謳い文句に注意しましょう。
①審査条件を緩くします
貴社の信用情報では、貸倒リスクが高いためファクタリング契約を結ぶことができない」などともっともらしい理由をつけて、審償還請求権をつければファクタリングの審査条件を緩くすると持ちかけてきます。
赤字決算、債務超過に陥ってしまっている企業の場合、騙されてしまうこともあるため、注意してください。
②手数料をお安くします
「償還請求権付きのファクタリング契約を結んでいただけるのであれば、手数料をお安くします」というのも、よくあるうたい文句です。
信用情報の調査により、売掛先の信用力が著しく低いことが判明した際に、よく使われます。
ファクタリング利用企業からは、ファクタリング手数料をしっかりととっておき、売掛債権が不良化したら、さらに償還請求を行うのです。
手数料が低くなるならと、誘いに乗ってはいけません。
売掛先が倒産しなければ大丈夫と思うのは危険!
償還請求権付きのファクタリング契約を結び、実際に被害があるのは売掛先の倒産などで売掛債権が不良債権化した場合です。
そのため売掛先が倒産しなければ大丈夫だろうとたかをくくり、安い手数料に乗ってしまう経営者の方は少なくありません。
しかしながらポルトガルの最大の銀行であるBanco Comercial Portugu esの調査によると、債権の回収率は71.4%というデータがあり、債権が未回収となることは決して人ごとではありません。
もしも100万円の売掛債権を10%の手数料で償還請求権付きのファクタリング契約を行い、その後売掛債権が不良債権化した場合には、110万円を丸々損してしまうことになります。
本来得られるはずだった売掛債権が得られず、手数料も発生しているため、確実に経営収支を圧迫してしまうでしょう。
公的機関も偽装ファクタリングへの注意喚起をしている
金融庁や商工会も、偽装ファクタリングへの注意喚起を行っています。
数年来、貸金業登録のない業者が、中小企業の経営者を狙って、ファクタリング(債券売買)を装い、実質的に債権を担保とした違法な貸付を行っている事案が発生しており、国会においても質問がされております。
つきましては、資料をご覧になり十分な警戒をお願いいたします。
引用元:吉川市商工会:【注意】偽装ファクタリング被害について
貸金業登録のない業者が、中小企業の経営者を狙って、ファクタリング(債券売買)を装い、実質的に債権を担保とした違法な貸付を行っている事案が発生しております。
被害が疑われるケースとして
引用元:三田市商工会:その資金調達大丈夫ですか?~偽装ファクタリングにご注意ください!~
1.債権の買取代金が、債権額に比べて著しく低額であったり、高額な手数料が差し引かれる。
2.契約書に売買契約であることが定められていない。
3.譲渡した債権の回収(集金)が売主(あなた)に委託されており、回収することが出来なかった場合
に、売主による債権の買戻しや買主(買取業者)による償還請求が行われることになっている
上記にもある通り、契約書に債権売買であることが明記されていなかったり、償還請求権がある(買い戻しが行われる場合あり)旨が記載されている契約書には、注意が必要です。
ファクタリング契約の際には、必ず契約前に契約書を受け取り、文章を確認するようにしてください。
悪徳業者の場合ですと、無駄に長い契約書で償還請求権の有無を誤魔化そうとするケースもあります。
そのような場合には、口頭でもいいので「償還請求権があるかどうか」を尋ねるといいでしょう。
契約書を渡さないファクタリング会社は、もってのほかで即刻利用をキャンセルするようにしましょう。
まとめ
ファクタリングは銀行融資が利用できない場合に有用な資金調達法ですが、悪徳ファクタリング会社には注意しなければいけません。
特に注意が必要なのが、偽装ファクタリングです。
償還請求権があるファクタリング契約は、許可のない融資に当たるため、違法となる可能性があります。
悪徳ファクタリング会社は言葉たくみに、償還請求権付きのファクタリング契約を持ちかけてきます。
くれぐれも利用しないようにしましょう。
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