日本でも普及しつつあるファクタリングサービスですが、実は仮想通貨を活用したファクタリングサービスも米国で登場していることをご存じでしょうか?
今回は、債権買い取り資金を「仮想通貨」および「フィアット(法定通貨)」投資で賄う新しいファクタリングサービス「Versara(ヴァーサラ)」を紹介します。
新しい技術を使い、従来のファクタリングとは違った仕組み・メリットを持っており、アジア展開も視野に入れているというこのサービス。どんな特徴があるのかを見ていきましょう。
目次
ファクタリング×仮想通貨を実現する!Versara(ヴァーサラ)の特徴
Versara(ヴァーサラ)は、ファクタリングに仮想通貨・フィアット通貨(詳細は後述)を絡ませることで、「誰でも安全に」利用できる仕組みを目指す仲介サービスです。
創立されたのは2017年10月で、2018年5月にはサービスのプロトタイプを公開。8月のICOを経て、2019年に米国でプラットフォーム開始が予定されています。
さて、ファクタリングとは「売掛債権を現金化する」資金調達手法のことです。
企業・個人事業主が持つ「売掛債権」を、金融機関および民間の専門業者が買い取ることで、本来の支払期日より早く現金化できるというものです。
通常、売掛債権の現金化にはファクタリング会社の資本を用いますが、Versaraではその資本を「フィアット投資家」および「仮想通貨投資家」からの出資で賄っています。
これにより、通常のファクタリングでよく懸念されるような以下の2種類のリスクがかなり低減されるのが特徴です。
- 買い取り側:「買い取ったはずの債権を多重譲渡される」「売掛金を横領される」「貸し倒れる」
- 債務者側:「法外な手数料を請求される」「取引先に債権譲渡を知られる」
これらは、ファクタリングが現状のシステムである限り、避けようのないリスクです。
しかし、Versaraでは債務者との間にVersara、およびVersaraに投資する人達が入ることで、これらのリスクがかなり軽減されるのです。
具体的にどういったメカニズムで軽減されるのかは後述しますが、この点がVersaraの核であり、このサービスの一番のメリットとなっている部分でもあります。
Versaraへの投資は法定通貨(フィアット)でも仮想通貨でもできる
Versaraが持つリスク軽減システムは「二重の壁」と呼ばれており、
壁とは、Versaraに投資する「仮想通貨投資家」と「フィアット投資家」のことを指しています。
この2種類の投資家がどう絡むのか、投資したお金がどう動いていくのかを説明していきましょう。
「フィアット通貨」「フィアット投資家」の役割
「フィアット」とは、直訳すると法定通貨、つまり日本円やドルのことを指します。
冒頭で述べた「フィアット投資家」というのは、つまり一般的にイメージするような投資家のことだと考えてかまいません。
一方で、仮想通貨投資家というのは、Versaraで使える仮想通貨を用いてVersaraに投資を行う投資家のことです。
この2つは、それぞれ違う役割を持っていますが、Versaraの信用を高めるために必要な存在です。
それぞれの役割を、具体的に解説していきましょう。
フィアット投資家は「売掛金の買い取り代金」を担当
まず、フィアット投資家から。ちなみに、フィアットとは日本円やドル、ユーロなどの「法定通貨」のことを指しています。
フィアット投資家が投資したお金の流れは、Versara内を以下のように巡ります。
- フィアット投資家が投資したマネーがVersara本体にプールされる
- プールされた資金は、売掛金の買い取り代金に利用される
- 支払期日に、売掛先からVersaraに本来の売掛金が支払われる
- 支払われた売掛金を元に、フィアット投資家に元本と利子を配当
買い取った債権の売掛金が、無事にVersaraに支払われれば、フィアット投資家は配当を得られるというわけです。
このように、通常会社の資金から買取額を賄うところを、Versaraではフィアット投資家からの資金で賄われています。
それでは、もし債権が不渡りになってしまって、売掛金が支払われなかった場合はどうなるのでしょうか?
仮想通貨投資家からの資金は「売掛金の担保」を担当
フィアット投資家の役割が、Versara経由のファクタリングを行う際の資金プールを担当することは先ほど説明しました。
それでは、もう一方の仮想通貨投資家は何をするのかというと、「ファクタリングが貸し倒れた際の保険」として機能します。
仮想通貨投資家が投資した資金は、フィアット投資家に元本・利息を支払えない状況になってしまった際、代わりに投資家に支払う代金として扱われます。
なので、もし貸し倒れた場合は仮想通貨投資家が損害を被ることになっていますが、その分配当も高くなっています。
リスクとリターンが異なるので、投資資金が集まりやすい
つなり、ハイリスク・ハイリターンを求める人はVersaraトークンに投資し、ローリスクローリターンで投資したい方は法定通貨で投資すればいいわけです。
売掛債権は、会社の倒産や資金繰りの悪化など、売掛債権はさまざまな要因で不渡りになってしまうことがあります。
こうした場合、通常のファクタリング会社であれば法的手続きを取り、もしどうしようもなければ貸し倒れ、という流れになってしまいます。
また、そもそも貸し倒れるリスクを考慮して手数料は予め高く設定されることがほとんどです。
一方でVersaraの場合、この二重の壁により、売掛金が支払われなかった場合のリスクを擬似的に外部委託という形で軽減できるため、結果的に手数料も安くなるというメリットがあります。
このあたりの事実も踏まえると、Versaraがただの仮想通貨×ファクタリングではないということがわかるかもしれません。
Versaraのファクタリングと従来のファクタリングとの違い
このように、仮想通貨投資とファクタリングを組み合わせた新しいファクタリングは、見たところかなり新しいコンセプトです。
ではここで、従来のファクタリングと比べてどうだったかを解説していきましょう。
従来のファクタリングの特徴を箇条書きでまとめると、以下の通りです。
- 依頼者(債務者)とファクタリング会社(債権者)だけで行われる
- ファクタリング会社は売掛金を支払ってもらえない(貸し倒れ)リスクがある
- ファクタリング会社が用意した資金を買取額として渡す
- 企業同士のやり取りが発生し、国をまたいでの現金化は不可能
これらと、Versaraの特徴を比較すると、Versaraには以下の特徴があることがわかります。
- Versaraおよび投資家の仲介によって信用補完ができる
- 低リスクで安全、かつ低手数料で債権を売買できる
- 仮想通貨およびブロックチェーンプラットフォーム上でのやりとりなので、国際ファクタリングも簡単
それでは、一つずつ具体的に説明していきましょう。
Versaraおよび投資家の仲介によって信用補完ができる
従来のファクタリングとVersaraが大きく違う点は、前項でも説明した「信用補完」の有無です。
ファクタリングにおける信用とは、「債務者が売掛金をちゃんと支払ってくれるか」というより、「きっちり債権を回収できるか」という点が重要です。
その点、Versaraは2種類の投資家によって債権回収リスクが低いので、ファクタリングのようにリスクを加味した運営をする必要がありません。
お互いに考えることが少なくて済むというのは、間違いなくVersaraの優れた点といえるでしょう。
低リスクで安全、かつ低手数料で債権を売買できる
先ほども述べましたが、低リスクでやり取りできると言うことは、手数料にリスクヘッジ分を上乗せする必要が無いということです。
通常、ファクタリングの手数料は「もし買い取った債権が回収できなくても最悪なんとかなる」ことを見越して設定されています。
ファクタリングの手数料は高いという印象を抱いている人は多いと思いますが、これは諸々のリスクを考えた結果仕方の無いことなのです。
むしろ、近年ではどう考えてもリスク分を加味していないであろう手数料設定の会社も出てきており、業界の競争率増加と醸成を感じるほど。
Versaraの場合、事前に承知した上でリスクを引き受けてくれる仮想通貨投資家の存在によって、貸し倒れリスクをそもそも考慮する必要が無いので、手数料も減らすことが可能です。
国際ファクタリングが簡単に
国際ファクタリングの際、2つの金融機関を介する必要が無い点もメリットです。
国際ファクタリングとは、その名の通り国家を介したファクタリングのことで、お互いの国の金融機関どうしてやりとりすることでファクタリングを行うものです。
国際ファクタリングの詳しい概要は以下の記事を参考にしてください。
従来、金融機関でしか提供されていなかったサービスですが、Versaraが普及すれば金融機関以外でもサービスの提供が可能になることが予想されます。
2019年内にはアジア上陸も視野に
現在のVersaraは、米国でのみサービスを展開中。今後、2019年第二四半期~第三四半期にかけてアジア圏やヨーロッパ圏にしていく予定です。
アメリカではポピュラーな資金調達手法であり、認知度・利用率共に高いファクタリングですが、日本でも徐々に利用率が高まってきています。
アジア展開で日本にやってくる時期は不明ですが、そう遠くはないでしょう。
投資資金が集まるかがVersaraの成功のカギ。日本上陸が待たれる
まとめとして、Versaraは以下のようなサービスであるといえます。
- 債権の買い取り代金を、フィアット(法定通貨)投資家および仮想通貨投資家からの資金で賄う
- フィアット投資家、仮想通貨投資家は、買い取りが成立すると配当を得られる
- もし、債権回収が不可能になった場合、仮想通貨投資家の投資金で配当が賄われる
- 仮想通貨投資家は、リスクが高い代わりにリターンも大きい仕組み
- 以上の仕組みは「二重の壁」と呼ばれ、低リスクで運営を可能とする
目玉である「二重の壁」は、従来のファクタリングが抱える問題を解決し、低い手数料での債権買い取りを実現できるとして注目を集めています。
2019年にはアジア上陸も視野に入れて展開していくようなので、続報に期待が持てます。
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