「売掛債権を現金化するなんて、後ろめたい手法なのでは?」「ファクタリングは利息制限法で規制されてないの?」など、ファクタリングの知名度が上がるにつれ、そんな声もちらほらと聞こえてきます。実際、ファクタリングはまだまだイメージとしてはまっとうな資金調達手法に見えにくい側面があるでしょう。本記事では、ファクタリングに興味がある方、違法性がないかどうか心配する方に向けて、「ファクタリングが法規制されているか」といった現状、それを踏まえた「ファクタリング利用の注意点」を説明していきます。

ファクタリングは貸金や出資に該当する?

手錠まず、ファクタリングは貸金業法、出資法など金融関連法で規制されていません。
そのため、ファクタリング業務を行う上では、貸金業者登録は必要ないのです。

理由として、まず「ファクタリングは融資でも出資でもない」ということがあげられます。
ファクタリングは「債権を業者が買い取る」手法なので、扱いとしては売買契約と同じで、その上ノンリコース(償還請求権なし)です。

一方で、手形割引は「債権を担保にした融資」にあたりますので、貸金業法が適用されます。
そのため、売り掛け先が倒産してしまった場合、受け取り企業に「価値のなくなった担保(債権)」分を返済する義務が生じてしまいます。

手形割引もファクタリングも、債権を早期現金化するという目的は同じです。
ですが、ファクタリングが金融関連法によって規制されないのは、こうした手続きの違いがあるためです。

貸金業法には該当しないため、利息制限法も適用されない

手錠が外される様子したがって、貸金業法で定められている上限金利はファクタリングに適用されません。
ちなみに、平成22年に改正された、法律上の上限金利は以下の通りとなっています。

上限金利は利息制限法で定められた水準(貸付け額に応じて15〜20%)となっています(利息制限法の上限金利を超える金利は、無効・行政処分の対象、出資法の上限金利を超える金利は、刑事罰の対象となります)。
※参考:金融庁(貸金業法 Q&A)

注意すべきは、これが適用されないため、ファクタリングでは20%を超える手数料が発生する場合もあります。
とはいえ、ファクタリング会社すべてが20%以上の手数料を重ねるわけではありません。

ファクタリングを行う条件によっては、2%程度になることもありますし、逆に30%まで上がることもありえます。

違法なファクタリング会社は「ファクタリングを装った貸金」を行っているケースが大半

悪徳業者ではなぜ、ファクタリング業者が「違法」だと逮捕されるケースが増えているのでしょうか?
これは、ファクタリングが違法なのではなく、ヤミ金業者が「ファクタリングと偽り高利貸しを行っていた」というケースが大半です。

売買ではなく貸金を行う場合、貸金業登録をしていなければ違法です。
実際、2017年5月には、ファクタリング業者を装ったヤミ金経営者ら7人が逮捕されました。

債権の買い取り装い「ヤミ金」、実質経営者ら7人逮捕 大阪府警 「ファクタリング」と呼ばれる債権の買い取り契約を装ったヤミ金業者が摘発された事件で、大阪府警生活経済課は23日、貸金業法(無登録営業)と出資法違反(超高金利)の疑いで、ヤミ金業者の実質経営者とみられる東京都中野区中央、会社員、天晶(あまあき)誠秀被告(32)=貸金業法違反罪などで起訴=ら2人を再逮捕し、新たに男女5人を逮捕した。

メディアではあたかも「ファクタリングが金融関連法に抵触している」であるかのように報道する場合がありますが、あれは全くのでたらめです。
このように、法律上ではひとまず問題がないことを確認できたと思います。

それでは続いて、ファクタリングについて経済産業省金融庁、中小企業庁がどのような見解を示しているかを確認しましょう。

ファクタリングは後ろめたい資金調達方法なのか?

一万円の札束を出す業者とはいえ、「ファクタリングが後ろめたい」という印象は拭いきれないかと思います。
ここで、ファクタリングに対する経済産業省・金融庁の見解を見てみましょう。

(前文省略) 売掛債権担保の活用を拡大する観点から、契約における債権譲渡禁止特約の解除を産業界に働き掛け続けることが必要である。 もう一つは、売掛債権を担保に資金調達することが風評被害を招きかねないという点である。 つまり、「売掛債権にまで手を出さなければ資金の調達ができず、資金繰りが苦しい企業である」とみなされる懸念があるということある。 この問題については、売掛債権を活用した資金調達が正当な資金調達手段であることの周知徹底が必要である。

このように、ファクタリングは、経済産業省・金融庁も推奨している真っ当な資金調達手法です。
ちなみに、経済産業省中小企業庁も、「売掛債権の利用促進」について以下の見解を示しています。

売掛先の事業者の方には、以下のご協力をお願いします。 <風評被害の防止> ・売掛債権の利用について、売掛先(取引先)等から資金繰りが厳しいのかと言われ、利用により風評被害が発生することが心配、との声が聞かれます。 ・売掛債権の利用促進は国の施策です。本制度の普及、利用促進にご協力下さい。 <債権譲渡禁止特約の解除> ・本保証制度の利用に当たり、取引にかかる契約に売掛債権の譲渡を禁止する特約がついていると、中小企業者は売掛債権を担保として譲渡し、融資を受けることができません。 ・国や地方公共団体では、既に、債権譲渡禁止特約の解除を進めています。 ・中小企業者との物品及びサービスの取引に当たり、債権譲渡禁止特約の解除にご協力下さい。

まとめると、「売掛債権の譲渡や担保融資の利用促進は国の施策」であり、普及・利用促進に務めていくべきとされています。

手数料に注意!ファクタリング実行で気をつけたいこと

手数料の交渉をする様子ここまでで、国の方針・法律ともに問題ないことが確認できました。
ですが、気をつけなくてはならないこともあります。
利息制限法が適用されないということは、手数料も高くなる場合があるということです。

これは主に、「2社間ファクタリング」で起こり得ます。

2社間ファクタリングの手数料は15〜20%前後

通常、ファクタリングは受け取り企業、ファクタリング会社、売掛先の3社が債権譲渡に承認したのち実行しますが、近年は売掛先を介さない「2社間ファクタリング」が広がっています。

これは、債権譲渡の承認を、売掛先が直接承認する代わりに法務局で「債権譲渡登記」をすることによって、ファクタリング会社に債権を譲渡する方法です。
売掛先に知られずに債権譲渡できるというメリットがありますが、代わりに「登記費用」が5万円〜9万円程度かかり、「貸し倒れリスク」も増加します。

そのため、リスクヘッジのためにどうしても手数料を高くせざるを得ない、というものでもあるのです。

抜け道を利用する悪徳業者も存在する

この2社間ファクタリングの手数料は、25%程度に膨らむこともあります。
その市場感を逆手に取り、さらに貸金業登録が不要で参入障壁が低いことから、悪徳業者も存在します。

事実、弁護士ドットコムでも、このようなケースも違法にならないと判断しています。
※参考:弁護士ドットコム(暴利なファクタリング業者への対応)

そのため、リスクの高い2社間ファクタリングは最後の手段と考え、やむを得ない場合はきちんとリサーチし、信頼性の高い企業を選びましょう。

補足として、悪徳業者に対する、利用者側にできる策としては

  • 隅から隅まで契約書を読む
  • 手数料内訳をしっかりと確かめる
  • 請求書を契約前に提示してもらい、控えは必ず貰う
  • できる限り対面で面談する

このようなものがあります。上記は実際に行う上で覚えておきましょう。

まとめ:ファクタリングは違法性なし。しっかりリサーチし、信頼できる業者に依頼しよう

キーボードを打つ様子ファクタリングは違法性がなく、真っ当な資金調達手法です。

実際、信頼性のある業者はファクタリングを実行してくれるだけではなく、長期的なキャッシュフローのアドバイスや、3社間ファクタリング実施時に売掛先に同行してくれるなどといったサービスもあります。

ファクタリングをせずに済むに越したことはありませんが、困ったときの資金調達手法として、覚えておくと良いでしょう。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事