ファクタリングを検討するのは、「借入や融資を断られた」タイミングであることが少なくありません。
実際、売掛金を現金化するのに抵抗がある方はまだまだ少なくありませんから、最後の手段として捉えるのは自然なことでしょう。
ですが融資を断られたからといって、すぐにファクタリングを検討してしまうと重要な部分を見落としてしまう可能性があります。
今回は、銀行融資を断られてファクタリングを検討している方向けに、
- 「ファクタリングの資金調達としての特性」
- 「融資を断られたらどうすべきか」
という点を解説し、ファクタリングで失敗しないためのお手伝いができればと思います。
目次
ファクタリングはどういう資金調達手法なのか?
まず、ファクタリングとはそもそもどういった特性を持った方法なのでしょうか?
実は、少なくない割合の方が下記の点を正しく認識せずに利用している傾向にあります。
まずは、ファクタリングがどういう面に強く、どういう面に弱いのかを正しく認識しなくてはなりません。
具体的には、下記の通りです。
- 入金スピードが早く、短期的な資金ニーズに強い
- 負債を増やさず資金調達できる
- 条件が揃っていればかなり有力な手法
- 「超短期融資」と考えると年利は非常に高い
- 長期的にキャッシュフロー改善の見込みがないと逆に首を絞める
それでは、順に解説していきます。
入金スピードが早く、短期的な資金ニーズに強い
売掛金を現金化するという特性上、短期的な資金ニーズには非常に強いです。
「ここさえ乗り切ればあとは安定する」
「どうしても3日後に数百万円必要だが、その後は資金繰り改善の見込みがある」
といった状況で輝く手段といえるでしょう。
また、後述しますがこういった資金ニーズに対し、負債を増やさず解決できるのも強みです。
負債を増やさず資金調達できる
ファクタリングは「負債」ではなく、「流動資産の売却」であるため、長期的に考えると融資よりお得です。
会社の純資産利益率が上がりますから、株価や銀行融資の際の評価が上がるためですね。
この点においては、融資よりも圧倒的に優れている部分といえるでしょう。
上述したように、これが短期的な資金調達に強いという側面を支えているメリットでもあります。
条件が揃っていればかなり有力な手法
手数料に関してですが、以下の条件が揃っていればかなり費用を抑えて実行できます。
- 売掛先の理解を得て3社間ファクタリングが可能
- 債権の与信が高い(安定した入金実績がある、国や自治体が売掛先であるなど)
- 債権の金額が多く、支払いサイトも長すぎない
3社間ファクタリングでは、手数料相場が1.5%〜5%程度になりますので、ほぼ融資と変わらないくらい有利になります。
一方で、2社間ファクタリングは手数料が最低10%程度から30%程度と非常に高くなりますので、歴然とした差があるのです。
加えて、債権の与信や希望金額も大きなファクターとなります。
売掛金額が低いと利益を上げるため手数料も上げざるを得ず、与信が低いとリスクヘッジのためこれまた手数料が上がるためです。
したがって、売掛金額の高い建設業界や入金実績を積みやすい人材派遣業界などは有利であるといえますね。
逆に、これらの条件に当てはまらない状況でのファクタリングは、あまり良い手段であるとはいえなくなってしまいます。
「超短期融資」と考えると年利は非常に高い
特に気をつけて欲しいのが「手数料の考え方」です。
ファクタリングの手数料は、一見してビジネスローンの金利と同じように見えます。
ですが、実際の所ファクタリングは実行時に全額支払うのに対し、ビジネスローンは基本的に年利。
さらに、融資の場合は数年単位で返済していく形になります。
短期的にどちらが多く資金を調達できるかといえば、これはもう言うまでも無いでしょう。
加えて、1年以内にファクタリングを2回、3回と継続利用していった場合、年利換算では手数料が100%を超えることもあります。
このように、長期的な経営改善の見込みがないままファクタリングを利用すると、とんでもない落とし穴にはまってしまう恐れがあるのです。
くれぐれも気をつけるべきポイントといえるでしょう。
長期的にキャッシュフロー改善の見込みがないと逆に首を絞める
上記に関連した内容となってしまいますが、長期的に改善する(できる限り継続利用はしない)のが重要です。
利用回数がかさめばかさむほど金利としては法外なレベルまで上がってしまいますから、注意しなくてはなりません。
ですから、「ファクタリングという名の超短期融資」を「長期的な視点で利用する」ことはまず心がけて欲しい部分なのです。
「その場しのぎ」での利用はおすすめできない
ファクタリングの利用を検討するうえで気をつけるべきポイントは、「1〜2度の利用で改善できるか」という点です。
その場しのぎの利用は基本的におすすめできません。
というより、単純に資金調達をするだけであれば負債を抱えてでもビジネスローンや公的融資を検討するべきです。
そちらの方が、長期的には経営の立て直しはしやすくなります。
ですから、ファクタリングの利用を考えている方は以下の点に当てはまるかどうかを考えてから検討するようにしましょう。
- 3社間ファクタリングに持ち込めそうか
- 「負債を増やさず調達できる」ことのメリットは大きいか
- 有利な債権を持っているか
- 長期的なキャッシュフロー改善の見込みがあるか
さて、それでは続いて「融資を断られたらどうするべきか」についても解説していきます。
融資を断られたらどうするべき?
それでは、ファクタリングの利用を検討する前にまず何をすべきなのでしょうか?
最低でも、以下の3つは行っておくのがベストです。
- キャッシュフロー改善計画を練る
- 短期的に資金ニーズがある場合にファクタリングを検討
- 取引先には3社間ファクタリングの相談をする
それでは、順に解説していきます。
1.キャッシュフロー改善計画を練る
まず、経営改善や資金繰り改善に向けたプランを練り直しましょう。
これは、短期的な資金ニーズ、長期的なキャッシュフローのプラン、どちらも改善させる上で必要なポイントです。
また、融資を受ける方ならすでに作成しているかと思いますが、
- 貸借対照表
- キャッシュフロー計算書
- 経営改善計画書
なども見直しが必要です。
必要であれば、商工会議所や日本公庫などをはじめとする、中小企業庁の認定支援機関に行くのも良い選択です。
中小企業庁のサイトでは、全国の認定支援機関の一覧が掲載されていますので、参考にしてみると良いでしょう。
2.その後、短期的に資金ニーズがある場合にファクタリングを検討
その後、短期的に資金ニーズがある場合はファクタリングを検討しましょう。
ファクタリングはスピード感のある資金調達手法ですが、実際は相見積もりを取るために余裕を持って動くことが大切。
相見積もりの際のコツや注意点は以下の記事を参考にしてみてください。
3.取引先に3社間ファクタリングの相談をする
手数料を抑えるには、取引先と交渉して3社間ファクタリングを実行するのが重要です。
はじめから諦めず、3社間の交渉をしてみると良いでしょう。
なお、下請けの多い大手では振込先の変更などの手間を嫌い、基本的に承認しないとしている会社もあります。
まとめ:ファクタリングのメリット・デメリットはよく認識しておこう
上記のように、ただつなぎ資金を得るためだけのファクタリングは、基本的におすすめしません。
融資を断られたときは、まずファクタリング利用のメリットが大きいのかどうかを判断し、実行しましょう。
ファクタリングは、上手く利用すれば非常に優秀な資金調達手法です。
メリット・デメリットを正しく認識した上で、他の方法と比較検討しながら利用していくのがベストです。
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