ファクタリング以外の債権活用方法「売掛債権流動化」を詳しく解説!

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このサイトで解説している「ファクタリング」をはじめ、資金調達には債権を活用する方法も存在します。

それらはまとめて「売掛債権流動化」と呼ばれ、現在は3つの手法がポピュラーです。

本記事では、売掛債権流動化の3種類について、ファクタリングを中心に比較しました。

共通しているポイントや抱えているリスクなど、売掛債権流動化を活用しようとしている人に向けて、わかりやすく整理していきます。

「売掛債権流動化」3種類の手法

売掛債権流動化3つの種類!

「売掛債権流動化」とは、簡単に説明すると「売掛債権を利用して資金調達を行う」手法の総称です。一般的に、売掛債権流動化と呼ばれる手法には以下の3つがあります。

  • ファクタリング
  • 売掛債権担保融資
  • 売掛債権証券化

それぞれの簡単な特徴を解説し、それぞれに共通したメリットを紹介していきましょう。

ファクタリング

ファクタリングとは、「売掛債権をファクタリング業者に買い取ってもらう形で、債権を現金化する」手法です。

手持ちの債権を入金日を待たずに現金化できる手法で、短期的な調達に向いている手段です。依頼者・売掛先・ファクタリング会社の3社が契約する「3社間ファクタリング」と、売掛先を介さず債権を売却する「2社間ファクタリング」がポピュラーです。

融資ではなく売却にあたるため、負債として計上されない他、無担保・無保証人であることもメリットです。

売掛債権担保融資

売掛債権担保融資とは、「売掛債権を担保に金融機関から融資を受ける」手法のことです。

字面が似ているためファクタリングとよく誤解されやすいですが、ファクタリングとはいわば「不動産売却」で、売掛債権担保融資は「不動産ローン」にあたります。

したがって、売掛債権担保融資はファクタリングと大きく異なり、当然ながら負債として計上されます。しかし、債権の金額よりも大きな金額を調達できるというメリットもあります。

売掛債権証券化

売掛債権証券化とは、売掛債権を証券として投資家に発行する特定法人団体「SPV」に譲渡し、資金を受け取る方法です。

「SPV」は、いわば企業と投資家の仲介業者です。企業から譲渡された債権は、信用力を担保として証券を発行し、投資対象とするのです。

売掛債権を支払期日までに現金化出来るメリットはもちろん、ファクタリングと同じく会計上は負債に計上されなくなります。

上記3種を簡単に解説しましたが、売掛債権ひとつとっても、どういった活用をするかによって資金調達の形態も変わってくると言うことが理解できたかと思います。

なお、実際のところ売掛債権証券化はほとんど利用されておらず、債権の活用手段は「ファクタリング」か「売掛債権担保融資」が占めていることも付け加えておきます。

それでは、続いてこの3つの手法に共通したメリット・抱えているリスクを紹介していきましょう。

売掛債権流動化のメリット

メリット(merit)

売掛債権流動化には、以下のような共通したメリットが存在します。

  • 比較的早く資金調達ができる
  • 「債権」自体はどの事業者も保有しておりハードルが低い
  • 与信が不安でも調達を成功させやすい
  • 流動性の低い債権を現金化でき、キャッシュフローを循環

それでは、一つずつ解説していきましょう。

比較的早く資金調達ができる

売掛債権流動化は、すでにある債権という資産を売却する、いわゆる「デット・ファイナンス」と呼ばれる方法にあたります。

この手法の特徴には、とにかく調達が早いことが挙げられ、ファクタリングをはじめとする売掛債権流動化も例外ではありません。

そのため、短期で資金が必要となった場合に利用するべき手段といえるでしょう。

「債権」自体はどの事業者も保有しておりハードルが低い

不動産ローンなど、担保を必要とする調達手段は手軽に利用できるわけではありません。不良在庫の処分も、処分をするためには選定から依頼までなかなか手間がかかるのが実情です。

ですが、債権であれば通常どの業者も保有しているのが通常であるため、かなりハードルが低いです。

無担保・無保証人で実行できるのも大きく、資金繰りに困った場合の実行しやすさはグンを抜いているといえます。

与信が不安でも調達を成功させやすい

売掛債権流動化に共通しているのが、「比較的与信審査が甘い」点です。

売掛債権担保融資や売掛債権証券化は、担保となる売掛債権が存在しているため、無担保での融資と比較し、審査に通りやすい傾向にあります。

そして、特に審査が緩いのがファクタリング。

債権を買い取るファクタリング業者にとって重要なのは、買い取った債権が確実に回収できるかどうか(貸し倒れしないかどうか)という点です。

したがって、審査の時に重要視されるのは「売掛先の与信」であり、依頼主の与信はあまり重要ではありません。

もちろん、まったく必要ないというわけではありませんが、多少依頼会社で赤字決算が続いていても、税金の滞納記録があっても、正直なところファクタリング会社にとっては別に何の問題にもならないのです。

なお、売掛先を介さない2社間ファクタリングでは、そのあたりのリスクが高まるので手数料を高めて対策がされています。

まとめると、返済義務が生じる融資とは違い、自社の与信が不安でもファクタリングは実行できるのがポイントです。

流動性の低い債権を現金化でき、キャッシュフローを循環

売掛債権は、会計上は支払いに充当できない「流動資産」として計上されます。売掛債権流動化では、この債権を資産の部から外してしまうことによって、「オフバランス化」することが可能です。

流動資産を減らして資産を圧縮すれば、財務会計上の総資産利益率が上がり、そうなると融資にも好影響が出ることにつながります。

売掛債権担保融資については、借りた分は負債に計上されるものの、債権自体は手放すことになりますので、融資と比べて貸借対照表のバランスが大きく傾くことがありません。

会計上もマイナスを抑え、場合によってはプラスになる、という点は押さえておくと良いでしょう。

上記4つが、売掛債権流動化にあたってのメリットです。

それでは、続いて売掛債権流動化が抱えるリスクも紹介していきましょう。

長期で見れば売掛金額が減少するので、乱用は控えたい

リスクとして、早期で現金化出来るぶん手数料が引かれるのが売掛債権流動化のポイントです。

したがって、短期的な資金繰りのために乱用していると、余計に苦しくなってしまうことは想像に難くないでしょう。

ファクタリングは短期的な資金調達手法ですが、利用するなら長期的なキャッシュフロー改善を見据えなくてはならないのがジレンマともいえます。

どういう人が売掛債権流動化を利用するべきか

Applicable person

さて、上記をまとめると「売掛債権流動化」を利用するべきなのはこのような人であるといえます。

  • なるべく早く資金調達がしたい
  • 短期のつなぎ資金が必要
  • 長期的にはキャッシュフロー改善の見込みがある
  • 開業したてで融資が受けられない
  • 貸借対照表のオフバランス化がしたい

目的として、「融資」とは真逆のターゲットが利用するべきといえるのではないでしょうか。

まとめ

ファクタリング以外の債権活用法をまとめる様子

売掛債権流動化は、合法的な資金調達手法です。中でも、特にファクタリングは幅広い事業者が利用しやすい手段であるといえるでしょう。

融資を受けられるならば、金利の面から考えても融資を受けた方がいいのは間違いありませんが、選択肢として頭に入れておくと、資金繰りを考える際にも取れる幅が広がります。

売掛債権を活用し、キャッシュフローの改善に務めていきましょう。