審査が緩い、入金スピードが速いなど似た特徴を持つ「ビジネスローン」と「ファクタリング」、どちらを利用するべきだろう?とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
実のところ、ビジネスローンとファクタリングは似て非なるもので、それぞれ使うべきタイミングは微妙に異なるのです。
本記事では、両者を資金調達の観点で比較しつつ、
- ビジネスローンとファクタリングの共通点
- ビジネスローンとファクタリングそれぞれが優れている点
- ビジネスローンを利用すべき状況
- ファクタリングを利用すべき状況
これらをそれぞれ解説していきます。
目次
ビジネスローンとファクタリングの共通点
まずは、ビジネスローンとファクタリングの共通点をおさらいしていきましょう。
おおむね以下の点が共通しているといえます。
- 入金スピードが非常に早い
- 担保・保証人不要
- 手数料は高め
- 取り扱い先はノンバンクがメイン
それぞれ、詳しく解説していきましょう。
入金スピードが非常に早い
ビジネスローンとファクタリングは、いずれも融資や出資といった他の資金調達手法と比べて、調達スピードの速さが特徴です。
両者を比べると、ほんの少しファクタリングのほうが早く調達できるのですが、いずれにせよ入金を急いでいる時はどちらも検討する余地があるでしょう。
つなぎ資金が必要な場合、特に効果を発揮する特徴です。
担保・保証人不要
まだ担保・保証人が必要なビジネスローンもあるものの、最近では無担保・無保証人のビジネスローンが増えてきています。
したがって、共通する特徴としてこの点も加えて問題ないでしょう。
急ぎで資金が必要な場合、保証人や担保を用意した上で審査に時間がかかり、結局落ちて時間を無駄に使ってしまった…となるとかなりの痛手です。
それを防げるという意味でも、ファクタリング・ビジネスローンの強みといえるでしょう。
手数料は高め
ビジネスローン、ファクタリングはどちらもノンバンクでの資金調達にあたります。
ですから、いずれも金利手数料は少々高く設定されており、それゆえ「あまり頼るべきではない」方法といえます。
取り扱い先はノンバンクがメイン
融資はもちろん、ファクタリングも実はメガバンクで取り扱っています。
ただし、メガバンクが提供するのは売掛先の同意が必要な「3社間ファクタリング」のみ。
ですから、2社間ファクタリングをする必要がある場合は、いずれにせよノンバンクに頼る必要があるでしょう。
信頼性の高さという面では少々不安が残る、という点で共通しています。
上記3点は、ファクタリングとビジネスローンどちらも共通しているポイントです。
では、共通点を確認したところで、続いてビジネスローン、ファクタリングそれぞれを比較した際のメリットを確認していきましょう。
ビジネスローンのメリット・優れている点
それでは、ビジネスローンとファクタリングを比較した場合に、ビジネスローンが優れている点を紹介していきます。
- 売掛債権以上の金額を調達できる
- ファクタリングよりは遅いが、2〜3日で審査&入金
- 金利手数料はファクタリングより安い
- 期間あたりのコストパフォーマンスが高い
では、順に解説していきましょう。
1.売掛債権以上の金額を調達できる
ファクタリングのネックとして、売掛債権以上の資金は調達できないという点が挙げられます。
さらに、結局の所売掛金は支払われるものであるため、それならば融資を受ける方が長期的に見てキャッシュに余裕が出るというのは、説明するまでもないでしょう。
このように、審査に通りさえすれば自社の体力をかさ増しできるのがビジネスローン、もとい融資全般の強みです。
2.ファクタリングよりは遅いが、2〜3日で審査&入金
こちらは「ファクタリングより優れている」点ではありませんが、他の資金調達スピードと比較した場合にメリットとして数えられる点です。
融資審査では自社の返済能力を細かくチェックされるため、入金スピードはなかなか即日とまでいかないのが現状です。
ですが、ビジネスローンは3日〜5日もあれば入金できるノンバンクも多く、よっぽど急いでいない限りは充分なスピードといえるでしょう。
3.金利手数料はファクタリングより安い
実は、ファクタリングは融資ではないがゆえに貸金業にはあたらず、したがって「利息制限法(利息上限15%〜20%)」の適用対象外となっています。
ですから、法律上はたとえ手数料が99%でも違法にはなりません。
実際、あまり状態の良くない債権は手数料が30%を超えることもしばしばあり、これらにかかわるトラブルも少なくないのが現状です。
ですから、きちんと利息制限法の範囲内の金利に抑えられるビジネスローンの方が、金利手数料面で確実に有利なのは間違いありません。
4.期間あたりのコストパフォーマンスが高い
また、返済と買取では数字以上に手数料が異なります。
たとえば、支払い期日が2ヶ月先の債権を手数料15%で買い取ったとしたら、それはつまり金利的には15%/2ヶ月になります。
一方、融資の場合、1年返済で年15%の金利で借り入れを行った場合、15%/1年で済みます。
このように、最終的に支払う手数料が同じでも、数ヶ月の間手元に入ってくる金額はまったく異なってくるのです。
上記をまとめると、基本的に融資のほうが条件は良いことが多いことが伺えます。
それでは、続いてファクタリングがビジネスローンより優れている点を解説していきましょう。
ファクタリングのメリットを解説
ファクタリングがビジネスローンより優れている点は、以下の5つです。
- 審査は厳しくない
- 最短即日で入金完了
- 3社間ファクタリングが可能なら手数料も抑えられる
- 医療債権など、債権次第では有利な条件で実行できる
- 負債が増えず、融資に好影響
それでは、詳しく解説していきましょう。
1.審査は厳しくない
ファクタリングの審査は緩く、たとえ依頼者が債務超過、税金未納に陥っていたとしても債権の状態さえ問題なければ通るケースが多いです。
なぜなら、審査において重要なポイントは
- 売掛先が期日に売掛金を入金できるか
- 依頼者が売掛先から受け取った売掛金を入金するか(2社間ファクタリング)
の2点であるためです。
依頼者側も、売掛金を持ち逃げしたり虚偽の申告をしたりというモラル面を見られはしますが、経営状況はそこまで重要視されません。
ですから、総合的にはファクタリングは非常に審査がゆるい方であるといえます。
2.最短即日で入金完了
審査内容が厳しくないことから、審査時間も短く済むケースが多いです。
特に、2回目以降の取引では審査時間が大幅に短縮しますので、最短即日入金も十分に可能です。
なお、ファクタリングの中でも3社間ファクタリングは少しばかり審査時間を要します(売掛先も介するため)ので、注意が必要です。
3.3社間ファクタリングが可能なら手数料も抑えられる
ファクタリングの手数料は高いと先程述べましたが、それは2社間ファクタリングの話で、3社間ファクタリングの場合は貸し倒れリスクが低いため手数料も安くなります。
具体的に、手数料相場を見ていきましょう。
- 2社間ファクタリング(初回):15%〜30%
- 2社間ファクタリング(継続):7%〜15%
- 3社間ファクタリング(初回):2%〜7%
- 3社間ファクタリング(継続):1.5%〜5%
初回と継続した際で手数料は異なるものの、これだけの差があります。
ですので、可能であれば取引先と交渉した上で3社間ファクタリングを行ったほうが良いのは間違いありません。
4.医療債権など、債権次第では有利な条件で実行できる
債権の与信が高ければ、その分貸し倒れリスクも下がりますので、依頼者に有利な条件でファクタリングを行うことも可能です。
特に、医療債権をはじめとする国が発行した債権は、まず売掛金を確実に回収できる見込みがあるため、手数料も下がる傾向にあります。
ちなみに、医療債権に関しては「医療ファクタリング」と呼ばれる、通常のファクタリングとはまた違ったサービスとなりますので、興味のある方はリンク先を参照してみてください。
5.負債が増えず、融資に好影響
ファクタリングの特徴として、負債に計上されないという点もメリットです。
さらにファクタリングにより、流動資産が預金に変換されることで、純資産利益率(ROA)が上がるため、銀行からの評価もよくなるメリットがあります。
今後の融資を見据えて、ファクタリングを実行するのも戦略としては有効でしょう。
上記のように、ファクタリングはビジネスローンとまた違ったメリットがあります。
それでは、それぞれの手法を利用するべきタイミングを紹介していきましょう。
ビジネスローンを利用するのに最適な状況
ビジネスローンの利用をおすすめするのは、以下のような状況にある事業者です。
- 手持ちの債権よりも多い金額を調達したい
- 金利手数料を抑えたい
- 融資枠に余裕があり、審査も通る見込みがある
- 1週間程度なら入金を待てる
総じて、「そこまで追い詰められていない」という状況では有効な手段でしょう。
とはいえ、余裕が少しでもあるなら金利手数料のかかるビジネスローンを使う前にキャッシュフローの改善策がほかにないか、手を打ってからでも遅くはありません。
ファクタリングを利用するのに最適な状況
一方、ファクタリングの利用をおすすめするのは、以下のような状況にある事業者です。
- 可能な限り急ぎで調達したい
- 負債を増やしたくない
- ビジネスローン審査に通りそうにない
- 信用情報を悪化させたくない
時間が本当にない、という場合はファクタリングを利用すべきなのと、あと負債を増やしたくない場合も有効です。
ファクタリングと銀行融資を併用し、キャッシュフローを大幅に改善させるという戦略もアリでしょう。
とはいえ、2社間ファクタリングは非常に手数料が高いので、できる限り3社間ファクタリングを検討し、2社間ファクタリングは最後の手段と考えておくべきです。
ビジネスローンとファクタリングを比較:まとめ
ビジネスローン・ファクタリングの違いは以下のとおりです。
- 審査が緩いのはファクタリング
- 返済期間まで考慮した場合、手数料が安いのはビジネスローン
- 自社の能力よりも多くの資金を調達できるのがビジネスローン
- 入金スピードはどちらも早いが、強いて言うならファクタリング
- 負債が増え、会計上悪影響が出るのがビジネスローン、出ないのがファクタリング
似た特徴を持ちながら、仕組みは全く異なるファクタリングとビジネスローン。
どちらも手数料が高く、使わないに越したことはない手段ではありますが、長期的なキャッシュフロー改善の見込みがあるなら活用するべきでしょう。
個人でもご利用することができる現金調達サービスをご紹介いたします。