
2020年3月に、金融庁が給料ファクタリングは貸金業に該当するとの見方を出しました。
そこで本記事では、給料ファクタリングは違法なのか、どのような危険性があるのかを詳しく解説していきたいと思います。
目次
給与ファクタリングとは?
ファクタリングとは、企業が保有している売掛債権を売却し、資金を調達する方法のことです。
一方で給与ファクタリングとは、サラリーマンなどの給与を給与債権と見立てて、ファクタリング会社に売却してお金を手にするという方法です。
給料の前借りという考え方が最も近いかもしれません。
買取手数料はかかってしまいますが、
- 即日でお金を手にすることができる
- 信用情報が不問
- 借金をしなくても済む
- 会社や家族にバレない
といった利点があり近年、給与ファクタリングはカードローンなどよりも注目を集めています。
しかしながら給与ファクタリングにはまだまだ問題点もあり、
「貸金業法に違反する」
「ヤミ金だ」
との指摘もあります。
給与ファクタリングがそのように言われてしまうのには、以下の5つの理由があります。
次に解説していきましょう。
①手数料が高い
給与ファクタリングにより給与債権を売却する際には、手数料が発生します。
給与ファクタリングの手数料の相場は、20%~40%程度です。
この手数料を金利として考えると、非常に高金利となります。
現在の法律(貸金業法及び利息制限法)では、貸金を行う際の金利は年利換算で最大20%までと決められています。
一方、1ヶ月分の給与を10%の手数料でファクタリングしたとして、その手数料を年利に換算すると、
10%×12ヶ月でなんと120%もの金利になってしまうのです。
この金利は明らかに利息制限法を超えるものであり、これが給与ファクタリングがヤミ金だと言われる1番の理由でもあります。
②総量規制の影響を受けない
総量規制とは、借入者の年収の3分の1を上回る金額を貸し付けてはならない、と定めた法律のことです。
ただ給与ファクタリングは、貸金ではないので総量規制の影響を受けることがありません。
ですので利用者は、年収の3分の1に当たる4ヶ月分の給与をファクタリングすることも可能です。
ところが、総量規制の影響を受けないことは違法ではないかとする声もあります。
脱法により多重債務者を増やすだけだとの指摘も多く寄せられています。
③悪徳業者が存在する
給与ファクタリングは利息制限法の規制を受けないため、手数料をいくらでも高く釣り上げることができます。
そのことが、ヤミ金業者や詐欺グループの参入を招いてしまっている大きな要因となってしまっています。
ヤミ金業者などは、「審査不要で給料を前払いします!」などと利用者をおびき寄せて、高い手数料を要求するのです。
ヤミ金業者や詐欺グループが行う給与ファクタリングを利用してしまうと、
- 個人情報を悪用される
- 会社に給与ファクタリングをしたことをバラすと脅される
などの被害にあってしまう恐れがあります。
くれぐれも、給与ファクタリングを検討する際には業者選びに注意するようにしてください。
④給与債権の譲渡の可否が不明瞭
給料ファクタリングは、個人が所有する給与債権をファクタリング会社に売却することでお金を得るというサービスです。
しかしながら労働の対価として得る給与債権を、他人に譲渡(売却)できるのかは法的に不明瞭となっています。
⑤貸金業法に抵触する
兼ねてより、給料ファクタリングは給与債権の売買を装った貸付だと言われていました。
それが2020年の3月に、金融庁が給料ファクタリングの実態は貸付であるとの見解を発表しました。
金融庁の指摘としては、
- 給与債権は労働者が雇用者から直接、受け取る必要がある
- ファクタリング会社は、雇用者を通さず、直接利用者とお金の受け渡しを行っている
- したがって給与債権の売買は実態がなく、給料ファクタリングは貸付に該当する
というものです。
金融庁の給料ファクタリングに対する見解は別記事で解説しておりますので、詳しく知りたい方はそちらを参考にしてください。
給与ファクタリングは違法なのか?
給料ファクタリングには上記の5つの問題点があり、違法という批判を多くされています。
また金融庁が給料ファクタリングは貸金に該当するという見解を発表したため、今後何らかの規制がかかることは確実です。
しかしながら金融庁の見解は、単にファクタリング協会からの問い合わせに回答しただけにすぎず、明確な規制法案が出されたわけではありません。
「給料ファクタリングは違法だから、業者への支払いはしなくてもいい!」
と考えるのは、非常に危険です。
躍起になった業者が、厳しい取り立てを行うことも考えられるため、注意してください。
悪徳ファクタリング会社に要注意!
給料ファクタリングをご利用の際には、悪徳ファクタリング会社の存在には注意しなければいけません。
繰り返しになりますが、ファクタリング業界の中にはヤミ金や詐欺グループも少なからず存在しています。
悪徳ファクタリング会社を利用してしまうと、個人情報の流出や不当な手数料を要求されるなどの被害にあってしまいます。
そのような被害に合わないためにも次に、給料ファクタリングを利用する前に知っておくべき悪徳会社の特徴などを解説していきましょう。
①手数料があからさまに高い
給与ファクタリングの手数料の相場は、20%~40%程度です。
ファクタリングの取引方法によっても異なりますが、相場よりも高い手数料で契約を求められたら、注意が必要です。
手数料の内訳を確認し、不明瞭な手数料が入っていないかどうか、チェックするようにしてください。
それでも手数料の内訳を明かさないファクタリング会社の場合は、悪徳会社である可能性が高いでしょう。
② 契約書を見せない&渡さない
悪徳金融業者は、基本的に契約書なしで話を進めようとし、最後になってようやく契約書にサインを求めてきます。
またサインした契約書の控えを渡してこない、というのもよくある手口です。
契約書の控えを渡さないのは、「サインさせてから契約書を改ざんする」ためです。
これを防ぐために、必ず契約書の控えはその場で発行してもらい、保管するようにしましょう。
また契約書は隅から隅まで確認し、不当な条項が追加されていないかどうかも確認してください。
③返済義務(償還請求権)があると言われる
給与ファクタリングを利用後、もしも勤め先の会社の倒産などによって、給与を受け取れなくなってしまった場合は、ファクタリング会社に支払いをする義務はありません。
これは給与ファクタリングが貸付ではない、ということに大いに関係しています。
返済義務があるとなると、給与ファクタリングが給料を担保にした貸付であると見なされ、ファクタリング会社は貸金業法違反になってしまうからです。
もしも給与が支給されなかったのに、ファクタリング会社に支払いを要求された場合は、悪徳会社である可能性が高くなります。
許可のない貸付に該当するという理由で、支払いを拒否するようにして下さい。
またこのような事態を避けるためには、契約前に返済義務があるかどうかを確認することが大切です。
もしも返済義務があると言われたら、悪徳会社と判断することができます。
④会社にバラすと脅される
ファクタリング会社と利用者本人の間だけで行う給与ファクタリングの契約方式を、2社間給与ファクタリングと言います。
2社間給与ファクタリングの場合、勤め先の会社から給与ファクタリングの許可を得る必要はありません。
しかしながら悪徳会社の場合、許可なく給与ファクタリングをしたことを会社にバラすと脅してくるケースがあります。
バラさない代わりに口止め料を要求してくる、という悪質きわまりない手段です。
まとめ
給料ファクタリングは以前から違法との指摘がありましたが、金融庁の見解により規制がかかることは確実視されています。
それでも審査不要、金融ブラックでもお金を手にすることができる給料ファクタリングが一定のニーズを誇ることは事実です。
「金融機関からの審査に通らない…」
「借金をしたくない」
「明日までに、お金を用意する必要がある」
というお悩みを抱えている方は、給料ファクタリングに頼らざるを得ない事情があります。
どうしても給料ファクタリングを利用せざるを得ない、という方は
- 給料ファクタリングが法的にグレーである
- 手数料が非常に高い
- 悪徳業者が多い
ということに注意し、安全な業者にお申し込みをするようにしましょう。